落語を聴いた日

ナマで落語を聴いた日の覚書と、落語に関係するあれこれについて書きます。

1/30 第203回立川志らく一門会 『師匠の志らくと弟子の志ら乃の親子会』@お江戸日本橋亭

チケット完売し、自由席だったので開場前に整理券発行するくらいでした。昨年の一門会は前座、二つ目、真打の「下剋上バトル」を30分、志らく古典落語とシネマ落語を毎月やったけど、不思議と満席にならなくて志らくファンには穴場だったのです。他の独演会はすぐ完売するのに。今年は親子会(志らくと弟子の二人会)にして、毎回弟子がプロデュースするそうです。まぁ、伝承ホールとはキャパが違いますから、満席になるのは当然といえば当然。桟敷席に若い女性ファン(学生さん?)のグループが10人くらいいて、志らく独演会の客層とはちょっと違う雰囲気。私は若くありませんが、遠慮せず桟敷席の後ろから2列目に座りました。

一、「時そば」 立川志ら乃 お囃子を演奏する下座(げざ)も、一門でやることにしましたとのこと。(舞台上には出て来ません。) 三味線は、二つ目のらく人。少々危なかった。太鼓は、志らく一門ではないけれど楽屋に来ていた寸志(談四楼門下) だったそうです。志ら乃さんがツイートしてました。 楽しい落語でした。箸がころげても…という年代のお嬢さん達がよく笑ってた。

一、「ずっこけ」 立川志ら乃 軽い噺を…と始めたのですが、熱量が高い。そして、BL含めて下ネタ風味がやや強めでした。

一、「淀五郎」 立川志らく 19日の「立川志らく落語大全集」でこれと「中村仲蔵」を聴いて以来、他の人はどんな風にやっているのかなぁ…と興味が湧き、いくつかCD、DVDで聴きました。同じ噺を聴いても飽きません。生で聴いたのは志らくだけだし、志らくファンなので志らくのが一番好きです。(他の落語家は、たいてい2,3日目で淀五郎が絶望して本当に死のうとしますね。それが型なのかな。) 本筋とは別に、林家への(愛のある?)悪口を言うのはいつものこと。談春の悪口も同様。で、この噺を現代に置き換えると、志らく談春だ、と。「意地悪団蔵」「皮肉屋団蔵」が談春で、淀五郎が訪ねて行った時に助言する中村仲蔵が自分だと言うのは、一見「志らくって嫌な奴」と聞こえます。でも、噺のなかで、団蔵は自分だけが良い芝居をすればいいのではなくて、みんなに良くなって貰いたい。わたし(仲蔵)は自分のことしか考えていないところがある、と語っていて、冷静な視点がまたおもしろい。 普段だと笑いの出ないような箇所(仲蔵が淀五郎に「そうだよ、(団蔵の言う通り)本当に腹を切ればいいんだ」と言うところ等)で、笑う客がいても少し待って、揺るがず、自分のやり方で進めていってました。さすが。

仲入り

一、「粗忽長屋」 立川志ら乃 スーパーの話をするのが好き、という話題から始まったので、ここで「グローサリー部門」をやるのか?とチラッと思いましたが、古典を。この噺は大好きだし、個人的な思い出もあります。(認知症の老夫婦。夫は妻が死んだと思い込み、葬式の喪主挨拶のリハーサルをして娘にこれで良いかと訊く。妻は初めは死んだと言われて怒っていたが、そのうち自分が自分の葬式に着て行く服装の心配を始める。これ実話。) おかしな二人(粗忽者の八五郎と、のんびり抜けてる熊五郎)と、行き倒れの番をしている常識人、20銭で賭けをしている見物人の対比が良かった。2月は、がじら、3月はこしら、と親子会だそうです。

1/23 立川談春 新春独演会「居残り佐平次」@品川プリンスホテル・クラブeX

1月23日

一、小噺 立川ちはる 緊張してるのがわかりました。談春さんって、怖そうだもの。でも、厳しく教えられて得るもの、鍛えられるものがあるのでしょう。入門するだけでも根性あると思う。 

一、「堀の内」 立川こはる 二つ目ですから羽織着用して、落ち着いて楽しい噺でした。よくフライヤーで見るのとは髪型変わっていました。 

一、「権助魚」 立川談春 東京で連続公演は久しぶりとのこと。だから450席の会場でもチケットに少し余裕があったのですね。最終日と私の都合が合って買えました。普段は発売即完売ですから。 お茶を出すタイミングに軽く小言を言い、こはるがアニメ「昭和元禄落語心中」に出ているのを知らずに夜中に見て、この声は誰だろう?声優にこんな落語は出来ない。と、「野晒し」の唄の部分 (♪ 鐘がぼんと鳴りゃあ…)を聴いて、あ、こはるだ!音痴に唄いやがって!と午前2時に電話で𠮟りつけたそうです。でも、あいつの声は男でも女でもない、昭和の鼻垂らしたこどもみたいで、落語もやりながら声優として使ってみたら良いと思う云々とほめてました。 この噺は志らく一門で何度か聴いたことがありますが、談春の権助は格段に愉快。魚の説明がいきいきしてた。

仲入り

一、「居残り佐平次」 立川談春 休演日を3日挟んで、1月10日から本日まで11回同じ噺を同じ会場でやる企画でした。そしてこのあとも、5月くらいまで「居残り佐平次」で全国を回ります。 初めに、昔あって今は無い、女郎屋の仕組みや名称の説明。それから本題に入って行きますが、まず、長い。それに、佐平次の「ぼく」「きみ」という言葉遣いは違和感ありました。途中で「おれ」も使ってましたが。暖簾に腕押しとはこのことか、という感じの飄々とした佐平次像はおもしろかった。

私が勝手に持っていた談春像 (迫力たっぷり、キリッとしている、強い、等々)は、勘違いだったかもしれません。みんなに受け入れられる談春、ポピュラーな談春、が正解に近いのかな?

1/19 立川志らく落語大全集〜テーマ 芝居 〜@国立演芸場

1月19日

開口一番 「道灌」 立川うぉるたー

一、「なめる」 立川志らく 16年かけて203席をやると、こういう気持ち悪い噺も入って来るとのこと。当日配布のリーフレットには「『なめる』はほんのシャレです。」と記載されてました。確かに気持ち悪い。若い娘の乳の下に出来た、夏みかんほどのおできをなめる破目になった男の噺です。医者には見放され、易者が22歳の男になめさせれば治るというので、毎日芝居見物に行って該当者を探していたお嬢様とお付きの年増女(と言っても25,6歳!私はその約2倍(笑))、よく考えましたねぇ。できものの事は黙って、療養中の貸家に連れ込み、色仕掛けと最後は力づくでなめさせます。そして、嘘をついて追い返し、その夜のうちに立ち去ってしまう。この気持ち悪いメインのストーリーの合間に、のんきだったり結構エロティックだったりする小噺(ギロチンの小噺に大笑いし、直後にちょっと恥ずかしくなりました。恥じらいを捨ててはイケマセンね。)を男の口から語らせて、後味さっぱり。明るく楽しい一席でした。

一、「淀五郎」 立川志らく 後半の「中村仲蔵」の後日談にあたる噺。件のリーフレットに、歌舞伎を知らない客にもわかるように演じると書いてありました。私は元々能楽ファンなので、歌舞伎の経験といえば、能「安宅」と見比べる企画で「勧進帳」の一部を見たことしかありません。でも、よくわかった。

中入り

一、「中村仲蔵」 立川志らく 「忠臣蔵」五段目が弁当幕 (切腹シーンのある四段目と六段目にはさまれ、また丁度昼時なのでお客が弁当食べながら見るような一幕) と呼ばれていて、その定九郎役をふられた仲蔵の苦悩と閃き、本番での素晴らしさに呆気にとられた観客の反応を「しくじった」と勘違いして落胆。大阪へ修行に出る前の挨拶で、師匠にそうではないと知らされて喜ぶという噺。 「淀五郎」もそうですが、これには志らくの演劇論が相当入っていて、理屈っぽい面もあったけれど聴きごたえたっぷりでした。実際15年くらい演劇をやっている彼ならではの「中村仲蔵」ですね。「(芝居を見た人から)落語より良かったよ!」と言われても、「志らくさん、芝居も良いけど、落語が良いよ。」と言われても腹が立つのです、という主旨のことをこの日のどこかで話してました。私はまだ数回しか志らくの芝居は見たことなくて、昨年の「不幸の家族」が抜群に良かったと思っています。今年再演するそうです。

12/26 シネマ落語の会 素晴らしき哉、人生!@渋谷区立文化総合センター大和田 伝承ホール

12月26日

一、落語バトル

「看板のピン」 立川志ら門

「転失気」 立川志庵

「鰻屋」 立川らく朝

一、「居酒屋」 立川志らく タイトルについて「宗教居酒屋」と志らくさんツイートしてました。まぁ、宗教と言ってもいろいろあります。仏教は落語と馴染み深いからか、主にキリスト教の用語でおもしろかった。居酒屋の小僧(男)がシスターで、主人が牧師、だったかな。

一、「死神」 立川志らく 「死神」は聴く機会が多いのは確かで、「また、死神か!」とつぶやいたお客がいたエピソード、その人の気持ちわかります。でも、今回の「死神」は、今までと何かが違っていて、とてもしっくり来ました。登場する死神のキャラクターかな?事前に映画「素晴らしき哉、人生!」を見たので、自分のなかで混同してMIXしてしまい、違和感がなかったのかもしれません。呪文のアジャラモクレンの次の時事ネタ部分は、「韓国のヌルプム体操が早くラジオ体操になりますように」のような言葉でした。実はわたし、ヌルプム体操がどんな体操でそれを巡って世間でどんな話題になっているか知らず。名前は聞いたことあるのですが。帰宅してから動画探して見ました。

仲入り

一、シネマ落語「素晴らしき哉、人生!」 立川志らく レンタルDVDで先に映画を見ました。検証のしようはないけれど、映画見てないと私はストーリーについて行けなかった気がします。主人公の、自分にチャンスが回って来た!と思ったらやむを得ない事態が起こり、自ら進んで身を引く。それが何度も続く。決して強制されてそうしているのではないのだけれど、報われないなぁという気持ちが少しずつ積もって行き、最後は嫌になってしまう。この微妙な感覚が、映画と落語では違っていて、落語は落語で良いのだけれど、わずかに予想がはずれてしまいました。泣いてる人もいたし、自分も落語は良かったと思います。仲入り前の二つの落語とのリンクが楽しかった。「主人公が生まれて来なかった世界」で、人にとりついて死なせているのがあの死神ですから。 先に映画見なかったらどうだったんだろう?それこそ、「自分が生まれてこなかったら世の中がどうなったか」と同じですね。 

12/23 立川志らく独演会@よみうりホール

12月23日

一、開口一番 「時そば」 立川がじら おっ!羽織姿だ、と思ったら、今月、二つ目に昇進なさったそうです。(落語家で同期昇進の人はいないけれど、探してみると次期アメリカ大統領トランプ氏が同期とのこと。) 本編に入る前に二八蕎麦の由来の話で言い間違え、それをネタにして笑いを誘うあたり、ご立派。志らくだって、10月の落語大全集で肝心の数えるところを言い間違えてますから。ところどころに"今"の言葉を織り込んでいたのは、私はあまり好きじゃないです。

一、『芝浜 後日の噺』 立川志らく 配布されたプログラムに、「今回の趣向は芝浜エピソード1と後日談を古典落語の中から探しました。」とありました。これは、『親子酒』ですね。酔っ払いをやる志らくは迫力あって面白いけど、芝浜の魚屋が年取ってああいう感じになるかな?ならないと思います。

一、『芝浜 以前の噺』 立川志らく これは『天狗裁き』ですね。この噺自体、仕組みがやや複雑で、隣席の年配ご夫婦は終わってから新作だと思って会話してました。天狗から羽団扇を取り上げ、空を飛んで降りた先で瀕死のお嬢様の病気を治す。お礼の四十二両は財布ごと海に捨てるという話…こじつけが馬鹿ゝしくて、返って楽しかった。

仲入り

一、『芝浜』 立川志らく 魚屋の勝五郎、20日間連続飲酒。まさにアルコール依存症ですね。今夜飲ませてくれたら明日から河岸へ行くから…と女房にごねて、最後には(酒を買う金が無いなら)「作れ!」というのがおもしろかった。財布を拾ったのは夢だと思い込ませる部分で、自分の腕が家まで伸び、時を間違えて早く起こした女房を引っぱたく、とか、海の波は誰かがこうやってる(かき混ぜる所作)からだ、とか、は夢だからそう思ったこと。そうかやっぱり夢だったのだと納得するあたりも、おもしろく笑いました。こういう笑いを挟んで、ストーリーが進んで行きます。そして、最後の、夢だとだましてごめんなさい、でも私を捨てないで云々のシーンでは、つい、うっかり、ホロリとしてしまった。年末の落語の定番には私は全くこだわりはなく、(ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートのラデツキー行進曲は好き。)どうして芝浜、芝浜となるのかな~と思うのですが。つい、ね。全体としては、少しポピュラー向けな感じがしました。

12/21 立川流 孫弟子の会 「立川流が好きっ!!」@深川江戸資料館小劇場

私は立川流は「まぁ、好き」なんです。談志は大好きです。立川流の落語家の噺を聴いて、つまらないなぁと思ったことあります。他の流派は高座では殆ど聴いたことありません。CDでは聴きます。 また、落語界の仕組みにあまり関心はないです。能・狂言文楽などの古典芸能にも興味があるし、見に行きます。 でも、落語そのものは好きですね。落語を聴く様になって、生きるのがラクになった。

一、「真田小僧」 立川こはる 談春一門の二つ目さん。女性です。いつか聴いてみたいと思っていた人。というのも、2014年9月に談春独演会に初めて行った時、(弟子に厳しいという評判は聞いてましたが)「弟子は一人もいなくなった」と、開口一番から全部談春。めくり自体なかったし、高座返しも確かしなかった。でも、談春一門のこはる、の名前はネット上で見かけるし、フライヤーも出てる。厳しいなかでも、続けているこの人はどんな噺をするのか。父親の低音の声がビシッとキマっている一方、こまっしゃくれた息子のハジケっぷりが底抜けに明るい。息子が講談風に話すところは、見事。カッコ良かった。メリハリがきいている。さすが! うーん、もう一人の女性落語家で真田小僧聴いたことありますが、ハッキリ差がわかりました。

一、「人間っていいな」 立川志の太郎 志の輔門下の二つ目さん。出囃子が「にんげんっていいな」(まんが日本昔話のエンディング曲)でした、よね? これは新作落語で、人工知能により、入門から3日で真打昇進のロボット落語家が登場する噺。構成が緻密で実におもしろい。本編の前のマクラで、自分が落語家になってから家元・立川談志に会った時の思い出話。談志・生志親子会に前座として付き人になり、博多へ。帰路、フライトの待ち時間に、志の太郎の師匠が志の輔ではなく志らくだと勘違いした家元、いろんなエピソードを語る。(具体的な話は無し)「え?師匠(志の輔)ってそういう面があるんだ…」と驚いているうち、だんだん誤解だとわかり生志が訂正したそうです。そして家元は「鱒寿司は、うめぇな」と言ったそうです。爆笑。

一、「天災」 立川談吉 談志の最後の弟子ですが、没後は左談次門下へ移った二つ目さん。みっちり、たっぷり面白かったけれど、この会の時間配分としては長かったと思う。最後の志ら乃が高座に上がった時、ステージ右のデジタル時計が20時53分でしたから。

仲入り

一、「一人相撲」 立川吉笑 この企画の発起人で事務局的な立場にあるのがこの人のようです。談笑門下の二つ目さん。新作落語。さすがに、3ヶ月連続して同じ人の同じ噺を聴くと、新鮮な面白さは減少してしまいました。

一、「庭蟹」(にわかに) 立川寸志 44歳で談四楼に入門した二つ目さん。さらりとこの噺をやったのは人生経験の差か、出演者同士の話し合いでの判断か。はじめ、ん?洒落小町…いやいや違うぞ、主人と番頭の噺だから、なんだろう?初めて聴く噺でした。頭の固い主人が番頭に洒落を言ってくれと頼むが、洒落が全くわからないという筋。きっちり、すっきりでした。良かった。

一、「粗忽長屋」 立川志ら乃 志らく門下の真打です。談志の孫弟子で最初に真打昇進した人。ほぼマクラなしで、粗忽長屋とタイトルも告げて始まりました。私はこの人の迫力、熱量の大きさが好き。その一方で、力を抜くところは抜く。先月も同じ噺を聴いたけれど、少し足した部分もあり、おもしろかった。約17分。最後のお辞儀が実に綺麗でした。1月の志らく志ら乃親子会のチケット購入しました。

12/1 写噺 SHABANASHI @国際連合大学・エリザベス・ローズ国際会議場

しゃばなし、と読みます。志らくさんのツイートで知って応募し、行って来ました。

主催は画像、動画を扱っているGetty Images という会社で、今年初めて、写真×落語、のイベントを開催。二人の落語家が、Getty Imagesの選んだ2016年を象徴する報道写真の中から一枚選び、それに関連した噺を一席ずつ語ります。

白酒さんも言ってましたが、国連大学の中に入るだけで、なんだか嬉しい。受付で言われた通り、外から見えるところに渡されたシール貼りましたよ。これで「危険人物」じゃないとわかる仕組みなのでしょう。エレベーターの音声は英語でした。会議場の正面に舞台を作り、高座になってました。ちょっと驚いたのは、一般客の他に報道関係者が大勢招待されていたこと。これ、普通の興行ではなかったようです。入場無料でカレンダーと手拭いのお土産までいただきました。

一、オープニング  司会者のフリーアナウンサーさんは着物姿。社長さん(女性)が会社と今日のイベントの説明。NTTの専門の人も登壇して人工知能が写真を選ぶ話もありました。

一、「松曳き」  桃月庵白酒  この方は初めて聴きました。ところどころに、独自のギャグを入れ、大筋スタンダードだけどおもしろかった。彼が選んだ一枚は、EUサミットでメルケル首相(独)、キャメロン首相(英)、オランド大統領(仏)が討論している写真。噺のあいだ、パネルが傍に展示されてました。

仲入り

一、「子別れ」  立川志らく  約1ヶ月前の赤坂寄席でも同じ演目でした。何回聴いても涙が出るなぁ。夫婦、親子の情愛。それを横から見て感動する八百屋を登場させるバランス感は志らくならでは。メリハリもあって良かった。聴いている人々が、落語になじみがない層が多いと判断した為か、玄能を金槌と言ったところが1回だけありました。今調べたら、玄能の方が金槌より小さい道具のようです。志らくさんは、熊本地震で崩壊した家の前で、オモチャを持って微笑む男の子の写真を選んでました。壊れた家の中からお気に入りのオモチャが壊れず見つかって嬉しい…と想像させる一枚。(実際そうなのかは、わかりません。)

一、アフタートーク   司会者と落語家二人でトーク。写真を選んだ理由、写真と噺の関連、今日のイベントの感想など。志らくさんは、こどもには強さ、純粋さがあること、大人がしっかり見なくちゃいけないと話し、白酒さんに「マジメなこと言い過ぎたかな?」と話し掛けてました。照れ、というか、バランス感覚というか。子育て真っ最中ってことも関係あると思った。テレビの規制の話題にもなり、司会者が元の所属局名も出して話していたのが痛快でした。

 

※こちらに動画が公開されています。

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11/21 談志まつり 2016-立川談志生誕80年記念公演ー(2日目)@よみうりホール

談志まつりに行って来ました。チケットが取れたのは、2日目のみ。でも、命日は21日だし、良いのです。

【昼の部】

一、「権兵衛狸」 立川談吉 狸は体のどこを使って「ごんべ、ドンドン」と戸を叩くか、実演するのを初めて見ました。後頭部で叩く。だからガラッと戸を開けられるとひっくり返る。

一、「尻餅」 立川小談志

一、「反対」 立川キウイ 芸の足りない分、体張ってます、と高座をおりてよみうりホールの2階席を1周してました。

一、「手水廻し」(ちょうずまわし) 立川雲水 "立川流の最底辺と最高峰の間に挟まれて"の出番だとマクラで言ってました。知ったかぶりの噺。雲水さんは関西言葉です。いつも手堅くおもしろくて、聴いていて気持ちが良い。

一、「みどりの窓口」 立川志の輔 生で初めて聴きました。マクラのあたりはボソボソとくたびれた感じから入るのですが、本編に入ると圧倒的におもしろい。構成がきっちりしているなぁ、と思いつつ、全くそれが嫌らしくならない。さすがです。

仲入り

一、立川談志生誕80年記念座談会 最初と最後に談志の録音(与太郎論、と孝行糖)を流して、中間は立川流の全出演者から一言ずつ。

一、「短命」 立川龍志 

一、ヴァイオリン漫談 マグナム小林 十数年前に談志に破門され、この道に入った方。この楽器でいろんな音を出す奏者の演奏はよく聴くのですが、相撲の呼び出しと行司の声は初めて聴きました。♪ラメチャンたらぎっちょんちょんでパイのパイのパイ♪(東京節)とのんき節の時は、ボディを顎で挟まず、胸のあたりに当てていました。後半はタップシューズ履いて、弾きながらタップ踏んでクラシックの有名曲「ラデツキー行進曲」(お客の手拍子に強弱の指示して)と「天国と地獄」!楽しかった。

一、「阿武松」 立川左談次

 

【夜の部】

一、「一眼国」 立川談修

一、「唖(おし)の釣り」 立川談慶

一、「イラサリマケー」 立川談笑 新宿アルタで同じ演者同じ演目で聴いたのは、今年3月。その時は、何だか日本で働く外国人を小馬鹿にしてる印象が強かったけれど、今回は大爆笑でした。ややアウェイな会場でやっているのが、返ってプラスになったのか。カタコトの日本語が何を指しているのか、とか、活きの良い魚が、悲しく死んだ魚、と表現されるのが単純におもしろかった。両隣の席の見知らぬ若い男性(学生さん?)が、ビルマ→水島のくだりで笑ってました。

一、「洒落小町」 立川志らく ♪のんきなブーちゃん♪ は、私は知らないのですが、懐メロらしい。良い声だ。志らくのスカッとしている噺、大好きです。それに、リズムが良い。他の演者がつまづいたり、重すぎたりするので、逆にそれがハッキリ分かりました。

仲入り

一、立川談志生誕80年記念座談会 談志の録音は昼の部と同じ。テーマは立川流の今後について。志らくが挙手して「流れ解散!」と言ったのが印象的でした。後は思い出話。談笑は時期的な理由で談志とじかに接することが殆どなかったそうです。

一、「黄金餅」 立川ぜん馬 自らの食道ガンの話から黄金餅へ。談志の晩年の録音で声が掠れているのを聴いたことあります。同じなのですが、生だからよけいに気の毒でした。率直に言うと、聴き辛い。

一、スタンダップコメディ 松元ヒロ テレビでは聴けない皇室ネタたっぷり。さすがヒロさん。談志に可愛がられたから、ここに入っているんですよね。でも後半は永六輔追悼の話になっちゃってました。

一、「禁酒番屋」 土橋亭里う馬(どきょうてい・りゅうば) 言葉と言葉の間が長くて、妙に重かった。で、さらっとやれば感じなかったであろう「キタナイなぁ」という感想です。

 

11/17 立川流広小路亭寄席 (昼席)@上野広小路亭

11月17日

志ら乃さんが代演で出る、というツイートを見て行って来ました。一日で10人以上の噺を聴いたのは初めてです。

一、前座 二人目の途中で席に着いたので、すみませんうろ覚えで、確か、志ら松さんだったと思います。演目は、「元犬」。

一、「看板のピン」 立川寸志

一、「天狗裁き」 立川笑二

一、「一人相撲」 立川吉笑 先月も聴きましたが、この人の噺は光ってた。

一、「権助魚」 立川志ら玉

一、「粗忽長屋」 立川志ら乃 元はここに龍志さんが出る予定が、トリのぜん馬さん休演で龍志さんがトリ、空いたところへ志ら乃さんが代演。 マクラで、ギャラを振り込んでもらう為に銀行口座を作ろうとしたら本人確認が必要であちこち回され、結局同居の女性(内縁でも6ヶ月以上なら可)のおかげで確認出来たとのこと。で、粗忽長屋に持って行くのは良い感じでした。私は熱量が高い志ら乃が好きなのですが、時に上がり放しになることもある。程よくコントロールしていて、この日一番良かったのはここ!

仲入り

一、「転失気」 立川らく兵 しったかぶりの噺。テンポよくて良かった。

一、「ろくろ首」 立川志のぽん 

一、「山号寺号」 立川左平次 軽い噺で良いのかもしれませんが、私はもうちょっとメリハリが欲しいな。

一、「松竹梅」 立川志らら 普通におもしろかった。

一、「文七元結」 立川龍志 うーん。私は志らくの文七の方が100倍好きだな。

11/5 赤坂寄席vol.4 「本日、ふたりで」 @豊川稲荷東京別院

11月5日

立川志らく&相島一之」の二人会の2日目にして千秋楽に行って来ました。前回までは赤坂レッドシアターでの開催でしたが、今年は会場が確保出来ずこの会場になったとのこと。ご本尊様と同じ高さに赤い布で覆われた高座があり、その前には賽銭箱。開演前に硬貨投げて拝んでいる人もいました。びっくり。信仰心が篤いのかな。客席は座敷に椅子でフラットでしたが、高座が高いので演者はよく見えました。

まずお二人登場し、挨拶と簡単に今までの経緯説明。

一、「一人長屋」 相島一之(あいじま かずゆき)  脚本家の鈴木聡さんが書いた新作落語。これまでは「一人称落語」をやっていたけれど、今回初めて登場人物の複数いる落語に挑戦!だそうです。この人は俳優さんです。(後日、映画「12人の優しい日本人」のDVD借りて見ました。面白かったです。) 落語は、複数の人物が混同しないよう、頑張って "かみ・しも" を間違えず奮闘されてました。自分で眼鏡飛ばすほどに。高座の上に座布団がないなぁ…と思ってましたが、彼は高座を椅子のように腰かけて話すスタイルでした。ちょっと理屈ぽいけれど、楽しかった。

休憩

一、「子別れ」 立川志らく 座布団が出て、仏様と同じ高さに座り、マクラ無しで噺に入りました。これは泣きますよ。亀坊は口が達者で、ちょっと生意気なところもある子だけど、言っていることは正直。普通にやってもジンと来る噺ですが、志らくの噺には通りすがりの八百屋が登場して、もう一つの目で情景を語る。これがおもしろい。吉原の帰り、吞んだくれて花魁ののろけまで言い、怒る女房に暴力をふるい、離縁状(三行半に一行おまけして四行半)を書き、女房子供に逃げられる熊五郎。彼が改心して酒を断ち、3年後、亀坊と再会するシーン…の脇に八百屋がいて見てるのです。「良いお話ですねぇ。商売もんの茄子ですが、どうぞ」。翌日、約束通りうなぎ屋の二階に亀坊が来る。後から気になって来てしまった女房とヨリを戻すシーンにも遅い昼飯をとる八百屋。泣きながら笑い、笑いながら泣きました。

一、トーク 「男はつらいよ」のテーマソングでお二人が登場。特に関係は無いのです、と言いつつも、志らく山田洋次監督が認めた「寅さん博士」ですから、映画のマニアックな話題あり。 ( 第〇作で電車が発車するシーンに、撮影だと察知し喜ぶ乗客が一瞬映っている、等) 相島さんは俳優として渥美清のすごさを語っていました。初期の作品でとらやの二階に上がる時に、3段階で見事にコケている話とか。途中から作者の鈴木聡さんも交えて、3人でトークでした。落語と芝居の違い。落語はリズムとメロディ、ここぞというところは感情を込めるが、それ以外は冷静に状況を見ながら鼻唄を唄っているようなもの。芝居は、演出家の意を受けて、その一人の人物になりきる。志らくさんも「芝居のマネゴトしてます」と芝居の話になり、他人にあれこれ言われるのが嫌だから、自分の劇団でやっている。故・蜷川幸雄氏からオファーが一度来たけれど、偶々先約があって断った話。「何も言いませんから、出てくださいよ」と言われてましたが、どうでしょう。