落語を聴いた日

ナマで落語を聴いた日の覚書と、落語に関係するあれこれについて書きます。

落語立川流特別公演 談志まつり2015 (2日目)@よみうりホール

11月22日

開口一番 「目薬」 立川平林(ひらりん)  立川談志が亡くなったのは2011年11月21日です。没後開催されている談志まつりに初めて行って来まし た。開口一番の平林さんは、あとで検索すると2005年に談志に入門、二つ目に昇進。談志が亡くなってから談慶門下に入ったそうです。普通に面白かった。

「幽女買い」 立川談慶 自分が死んだ、というおぼえのない男がまず登場。あの世もこの世と同じ作りになっていて、スティーブ・ジョブズも勿論いるのでiPhone11まで開発されていて…という流れから新作なのかなぁ?と思っているうち、知っているストーリーになりました。あの世では暗い歌が良いのだ、という例で山崎ハコ森田童子の名前が出て嬉しかった。私も好きでしたから。

「ぞろぞろ」 立川談笑 彼がやって、通常の「ひげがぞろぞろ」の落ちになる訳はないだろう。じゃあ、最後どうするのかな?と思ったら、床屋の大将がお客の首をスパッとやって、新しい首がぞろぞろでした。ふむふむ。

「干物箱」 土橋亭里う馬(どきょうてい・りゅうば) 談志に初めて入門した方だそうです。ま、でも談志の感じはまったくしない。遊びが過ぎて、父親に2階にいろ!と命令された若旦那の噺。普通に楽しかった。

中入り

真打昇進披露口上(この日は立川らく朝、立川志らら、立川らく里改め志ら玉の3人が昇進披露)

お医者さんから落語家に転進、「おじいちゃん」と司会の談笑に言われるような年齢で真打まで到達した らく朝は短距離走、志らら、らく里改め志ら玉(しらたま)は’70年代生まれなので先は長いですね。 それにしても志らく師匠の挨拶はクールでした。

「お化け長屋」 立川ぜん馬(ぜんば) 食道がんの第4段階でこれだけ出来るなんて、すごいな。声質はどうしても掠れてしまいますが。後半は聴きやすくなったところもありました。


文七元結」 立川志らく 演目の事前告知はありませんでしたが、始まってすぐわかりました。これは、泣く。絶対に泣く。何しろ、動画でも泣きますから。
で、今回ですが、自分でも意外なところでグッと来ました。吾妻橋の上から飛び込んで死のうとする文七を説得する長兵衛のことば。生きていれば良い こともある。明日になれば花も咲く、鳥もさえずる…。ここ、どちらかというと、腕はいいのに仕事はせず、博打で無一文になり、罪のない女房をなぐる蹴る、 可愛い17歳の娘は自ら女郎屋に行って自分を買ってくださいと頼み込む…そんなダメダメな男(でも江戸っ子、死のうとする文七に五十両投げ付けて与える 男。)が常套句を言っているそのアンバランスで笑うような部分だと思うのです。が、泣けました。
泣きの部分とおかしい部分のメリハリが最高に良かった。最後、長屋の人々は3人の光景を見て気が狂ったと思った、とかね。亭主は女物の着物来て、 女房は法被一枚、腰巻も売ってしまい腰からしたは裸、娘は女郎屋の女将の采配で美しく着飾って、この3人がまた一緒に暮らせると泣いて抱き合って喜んでい る。
お客を泣かせて終わり、にしないのが良い。
途中、談志の物真似(ラッコのひげみたいなポーズ)も1ヶ所ありましたよ。
終演後、がまんしていた感情があふれてしまい、前の席の人が振り返るほど、私は泣きました。