落語を聴いた日

ナマで落語を聴いた日の覚書と、落語に関係するあれこれについて書きます。

2/26 立川志らく独演会@銀座ブロッサム

2月26日

「黄金の大黒」(きんのだいこく)  立川らく次 安定して楽しかった。長屋の人々の個性もそれぞれわかって、一枚きりの羽織(絽で袷で!紋が三蓋松ほか3種類付いている!)を順に回して着て大家におめでたい席の口上を述べて行く。最後に黄金の大黒様が床の間からとことこ歩いて出て行こうとするので、引き止めると「あんまり楽しいので恵比寿も連れてくる」で終わり。

居残り佐平次」  立川志らく フライヤーには"元祖・幕末太陽傳"と書かれていました。「幕末太陽傳」は川島雄三監督の映画、主演はフランキー堺です。この映画は素晴らしい、でもフランキー堺にはもっと良い映画がある、と枕で言ってました。私はこの映画はYouTubeで見てとても好きです。居残りというのは、遊郭で遊んで金を払えずそこに残っている。居続けは、一夜で帰らず遊び続けて代金を支払う上客。佐平次、店の若い衆に代わり番でして…とお金を催促されるとまずはごまかす。理屈でもごまかすけれど、声でもごまかす。ギャッ、とか、ピーッ、スイッチョン、は今まで聴いたことありましたが、あかちゃんあかちゃん、や、モスラの島の住民の踊りの歌?は初めて聴きました。ごまかし切れなくなり、布団部屋に放り込まれるが、忙しい品川の大店のこと、客に手が回らなくなる時もある。刺身は来たが下地(醤油)が来ないとぶつぶつ言っている客の声を聴きつけて、小皿にそばつゆの残りを入れて持って行く佐平次。その他、掃除、お運び、三味線の音合わせなど、店の人々の手伝いを勝手にしたり、客を喜ばせたりして、「居残(いの)どーん、13番さんお座敷~」と幇間のようにお座敷がかかるようになる。となると若い衆に入っていたご祝儀はみんな彼の懐へ入るようになり、不満がつもり、店の主人に呼び出される。ここでまた佐平次、上手く言いくるめて金と着物までもらって出て行く。サゲは、出て行く佐平次の姿に花魁たちが「居残り惜しい」(お名残り惜しい)と声をかけてました。ここは談志のサゲ(せめて裏から叩き出して欲しいという若い衆に旦那が、「裏を返されたら後が怖い」)から変えてましたね。マクラも面白かったけれど(ゲスの極み、を圓生、スマップ謝罪会見は立川流にたとえて等々)、もちろん本編の聴き応えたっぷりでした。

仲入り

「品川心中」  立川志らく 金蔵は死にたくなるような洒落を言う男で、ばか金とも呼ばれている。「私は金蔵です、あそこにあるのは雑巾です」とか。で、通いつめた遊郭の女・お染に心中(形式的には店のトップだが年を取って客が減り、金もなく、悔しい思いをしたので死にたいが、せめて心中にして話題になりたい)の相手として選ばれてしまう。結局遠浅の海で助かって、今度は親分の助けをもらって仕返しする噺です。前回聴いた時、お染が最後に「死にます」と言ったのがスッキリしないと書きました。今回は、「それなら俺も死ぬ」と金蔵が続けて、ストンと落ちました。見事に話が初めに戻ってる。

毎回楽しみにしている、プログラムの志らくの言葉。"今年は志らくという落語家が変わろうとしている気がする。"から始まってました。この3年弱しか知らないので、何とも言えませんが、変わる志らくさんも聴きたいです。実は先週の公開らく塾にも行ってます。7日の昼公演、迷ってます。「死神」はどうも敬遠したくなるのですよ。