落語を聴いた日

ナマで落語を聴いた日の覚書と、落語に関係するあれこれについて書きます。

1/30 第203回立川志らく一門会 『師匠の志らくと弟子の志ら乃の親子会』@お江戸日本橋亭

チケット完売し、自由席だったので開場前に整理券発行するくらいでした。昨年の一門会は前座、二つ目、真打の「下剋上バトル」を30分、志らく古典落語とシネマ落語を毎月やったけど、不思議と満席にならなくて志らくファンには穴場だったのです。他の独演会はすぐ完売するのに。今年は親子会(志らくと弟子の二人会)にして、毎回弟子がプロデュースするそうです。まぁ、伝承ホールとはキャパが違いますから、満席になるのは当然といえば当然。桟敷席に若い女性ファン(学生さん?)のグループが10人くらいいて、志らく独演会の客層とはちょっと違う雰囲気。私は若くありませんが、遠慮せず桟敷席の後ろから2列目に座りました。

一、「時そば」 立川志ら乃 お囃子を演奏する下座(げざ)も、一門でやることにしましたとのこと。(舞台上には出て来ません。) 三味線は、二つ目のらく人。少々危なかった。太鼓は、志らく一門ではないけれど楽屋に来ていた寸志(談四楼門下) だったそうです。志ら乃さんがツイートしてました。 楽しい落語でした。箸がころげても…という年代のお嬢さん達がよく笑ってた。

一、「ずっこけ」 立川志ら乃 軽い噺を…と始めたのですが、熱量が高い。そして、BL含めて下ネタ風味がやや強めでした。

一、「淀五郎」 立川志らく 19日の「立川志らく落語大全集」でこれと「中村仲蔵」を聴いて以来、他の人はどんな風にやっているのかなぁ…と興味が湧き、いくつかCD、DVDで聴きました。同じ噺を聴いても飽きません。生で聴いたのは志らくだけだし、志らくファンなので志らくのが一番好きです。(他の落語家は、たいてい2,3日目で淀五郎が絶望して本当に死のうとしますね。それが型なのかな。) 本筋とは別に、林家への(愛のある?)悪口を言うのはいつものこと。談春の悪口も同様。で、この噺を現代に置き換えると、志らく談春だ、と。「意地悪団蔵」「皮肉屋団蔵」が談春で、淀五郎が訪ねて行った時に助言する中村仲蔵が自分だと言うのは、一見「志らくって嫌な奴」と聞こえます。でも、噺のなかで、団蔵は自分だけが良い芝居をすればいいのではなくて、みんなに良くなって貰いたい。わたし(仲蔵)は自分のことしか考えていないところがある、と語っていて、冷静な視点がまたおもしろい。 普段だと笑いの出ないような箇所(仲蔵が淀五郎に「そうだよ、(団蔵の言う通り)本当に腹を切ればいいんだ」と言うところ等)で、笑う客がいても少し待って、揺るがず、自分のやり方で進めていってました。さすが。

仲入り

一、「粗忽長屋」 立川志ら乃 スーパーの話をするのが好き、という話題から始まったので、ここで「グローサリー部門」をやるのか?とチラッと思いましたが、古典を。この噺は大好きだし、個人的な思い出もあります。(認知症の老夫婦。夫は妻が死んだと思い込み、葬式の喪主挨拶のリハーサルをして娘にこれで良いかと訊く。妻は初めは死んだと言われて怒っていたが、そのうち自分が自分の葬式に着て行く服装の心配を始める。これ実話。) おかしな二人(粗忽者の八五郎と、のんびり抜けてる熊五郎)と、行き倒れの番をしている常識人、20銭で賭けをしている見物人の対比が良かった。2月は、がじら、3月はこしら、と親子会だそうです。