落語を聴いた日

ナマで落語を聴いた日の覚書と、落語に関係するあれこれについて書きます。

立川志らくのシネマ落語~特別編vol.9~@紀伊國屋ホール

9月8日

「開口一番」  立川志ら松

「寝床」 立川志らく

最前列の席でしたが、このホールは見上げる角度がきつくて首が痛くなることを発見。それはともかく、1ヶ月ぶりの志らくさん、やはりこの世界の成分も私には必要だとよくわかりました。下手な義太夫を人に語って聞かせるのが好きな大旦那、その「被害」の描写が、細かくて奇想天外で可笑しい。

仲入り

宮戸川 上」 立川志らく

軍人将棋』ってなんでしょう?知らないのですが、噺を聴いているとおもしろい。その『軍人将棋』をやっていて帰宅が遅くなり、親に締め出されたお花ちゃんと、普通の将棋をやっていて同じく締め出された半七が、おじさんの家の2階で一夜を過ごすことになります。全般的に戦前軍事用語が濃い噺になっています。戦時歌謡を歌ったり。落雷をきっかけに二人が男女の仲になるシーンでは、落語には珍しく踏み込んだ表現もありました。(半七がお花の胸元に手を入れて云々) ここぞというところは軍隊調で語るので変にエッチにはならない。『疝気の虫が蕎麦の匂い目掛けて進んで行く時の感じ』で号令かけて「大砲発射!」…です。

※気になったので古今亭志ん生と、志ん朝、(かなり若い)談志の録音を聴いてみました。3人ともお花ちゃんが締め出されたのははカルタ取りして遅くなったからで、彼女の親戚は肥後の熊本です。(志らく版ではベトナムサイゴン。今はホーチミン・シティと言い足してました。) 男女の仲になるシーンは、志ん生は「ここんとこ本が破けてて」、志ん朝は「テープが切れちゃって」、談志は「行灯の灯りが消えて真っ暗になった」と、”発射”には至ってませんでした。

 

宮戸川 下 ゴースト~江戸の幻~」 立川志らく

「下」をやる噺家は殆どいないそうです。半七は陰謀に嵌り、殺されて幽霊になります。構成が凝ってましたね。前半にやった「寝床」の中で語られている“修行と思って旦那の義太夫をサシで聞き、成仏出来ない真面目な番頭の幽霊”や、落語「死神」の死神も登場します。ストーリーとしては、凄惨な殺人が続きます。最後は(配布されたプログラムや、それまでの噺で触れている)さだまさしの「関白宣言」でサゲでした。半七がお花に(あなたは)”俺より先に死んではいけない”は守ったよ、と。シネマ落語は初めてだったので、映画「ゴースト/ニューヨークの幻」のあらすじだけ読んで来ました。狂った感じの志らくが大好きですが、こういう志らくも好き。説明調になってしまわず、きちんと可笑しく楽しかったです。

“談志まつり2015”のチラシが配布物のなかにありました。11月22日(日)の志らくさんがトリの回が先行予約で当選しますように!