落語を聴いた日

ナマで落語を聴いた日の覚書と、落語に関係するあれこれについて書きます。

11/5 赤坂寄席vol.4 「本日、ふたりで」 @豊川稲荷東京別院

11月5日

立川志らく&相島一之」の二人会の2日目にして千秋楽に行って来ました。前回までは赤坂レッドシアターでの開催でしたが、今年は会場が確保出来ずこの会場になったとのこと。ご本尊様と同じ高さに赤い布で覆われた高座があり、その前には賽銭箱。開演前に硬貨投げて拝んでいる人もいました。びっくり。信仰心が篤いのかな。客席は座敷に椅子でフラットでしたが、高座が高いので演者はよく見えました。

まずお二人登場し、挨拶と簡単に今までの経緯説明。

一、「一人長屋」 相島一之(あいじま かずゆき)  脚本家の鈴木聡さんが書いた新作落語。これまでは「一人称落語」をやっていたけれど、今回初めて登場人物の複数いる落語に挑戦!だそうです。この人は俳優さんです。(後日、映画「12人の優しい日本人」のDVD借りて見ました。面白かったです。) 落語は、複数の人物が混同しないよう、頑張って "かみ・しも" を間違えず奮闘されてました。自分で眼鏡飛ばすほどに。高座の上に座布団がないなぁ…と思ってましたが、彼は高座を椅子のように腰かけて話すスタイルでした。ちょっと理屈ぽいけれど、楽しかった。

休憩

一、「子別れ」 立川志らく 座布団が出て、仏様と同じ高さに座り、マクラ無しで噺に入りました。これは泣きますよ。亀坊は口が達者で、ちょっと生意気なところもある子だけど、言っていることは正直。普通にやってもジンと来る噺ですが、志らくの噺には通りすがりの八百屋が登場して、もう一つの目で情景を語る。これがおもしろい。吉原の帰り、吞んだくれて花魁ののろけまで言い、怒る女房に暴力をふるい、離縁状(三行半に一行おまけして四行半)を書き、女房子供に逃げられる熊五郎。彼が改心して酒を断ち、3年後、亀坊と再会するシーン…の脇に八百屋がいて見てるのです。「良いお話ですねぇ。商売もんの茄子ですが、どうぞ」。翌日、約束通りうなぎ屋の二階に亀坊が来る。後から気になって来てしまった女房とヨリを戻すシーンにも遅い昼飯をとる八百屋。泣きながら笑い、笑いながら泣きました。

一、トーク 「男はつらいよ」のテーマソングでお二人が登場。特に関係は無いのです、と言いつつも、志らく山田洋次監督が認めた「寅さん博士」ですから、映画のマニアックな話題あり。 ( 第〇作で電車が発車するシーンに、撮影だと察知し喜ぶ乗客が一瞬映っている、等) 相島さんは俳優として渥美清のすごさを語っていました。初期の作品でとらやの二階に上がる時に、3段階で見事にコケている話とか。途中から作者の鈴木聡さんも交えて、3人でトークでした。落語と芝居の違い。落語はリズムとメロディ、ここぞというところは感情を込めるが、それ以外は冷静に状況を見ながら鼻唄を唄っているようなもの。芝居は、演出家の意を受けて、その一人の人物になりきる。志らくさんも「芝居のマネゴトしてます」と芝居の話になり、他人にあれこれ言われるのが嫌だから、自分の劇団でやっている。故・蜷川幸雄氏からオファーが一度来たけれど、偶々先約があって断った話。「何も言いませんから、出てくださいよ」と言われてましたが、どうでしょう。