落語を聴いた日

ナマで落語を聴いた日の覚書と、落語に関係するあれこれについて書きます。

10/13 立川志らく落語大全集@国立演芸場(~円生リスペクトの巻~)

10月13日

開口一番 「しの字嫌い」 立川志ら鈴 ちょっと聞き取り辛いところもありましたが、次はどうなるか?と思う面白い噺でした。

「湯屋番」 立川志らく 湯屋(銭湯)に奉公に行くことになった、居候中の若旦那の噺。もう、妄想が炸裂して堪らない!最高に楽しかったです。そして、全然下品じゃないところが好きだなぁ。 ここだったか、次だったか、時事問題の話題が最初にあって、かなり際どい、場所と相手によってはナイフで刺されそうなことも。天皇(「天皇陛下」と志らくは言ってました)まで登場でした。命がけですよね。アベは間違ってる!私も同感します。

「樟脳玉」 立川志らく まず、円生の話題。落語協会分裂の顛末の話。関連して、名前を継ぐ話の顛末。わかりやすくたとえれば…と、志らくの死後(志らくより上の人もみんな他界したという前提)に談志という名前を誰が継ぐか、にも発展して大笑いしてしまいました。あまりにもわかりやすくて。本編おもしろかったけれど、直前にわかった落ちが当たり前過ぎて、ちょとね…。でも、後から考えると、お雛様に樟脳入れてしまっておくという習慣を、実際にやったことがない世代も今や多いのかもしれません。私だって、自分の家ではしない。仕事でやるだけですから。

中入り

「双蝶々」 立川志らく “陰湿な人情噺”とプログラムに書いてありました。ホントに陰湿。落語初心者の私が思いつく、「らくだ」とか「黄金餅」も凄い噺だと思いますが、こどもの頃から嘘ついたり、悪さを働き、大人になって結局人殺しもする、というところが余計に陰湿度UPと感じました。長吉が定吉の首を手ぬぐいで絞め殺すシーンの志らくさん、怖かった…。そこへもってきて、大阪出身の番頭(でしたっけ?)を志らくが大阪なまりで喋り切れず(初めは喋っていたのですが、会話のテンポが速くなると駄目だと自分で見切りを付けたようでした。それとも元々その道筋だったのか?)、口に嵌めればたちまち江戸言葉を喋る架空の装置が出て来て大爆笑でした。当然ながら、談志も志らくも、ちゃんと大阪弁も喋れます。23歳まで大阪で暮らした者が聴いても、違和感はありません。金明竹の大阪訛りのアメリカ人とかね。よくテレビで、そうじゃないっ!違う!という言葉遣い、イントネーションに遭遇すると、どんなに内容が良くても嫌ですが、彼らはさすが話術の達人ですね。 一番最後、長吉が御用となって、市中引き廻しの上、磔獄門、つまり槍で処刑されます。時を同じくして、患っていた父親の長兵衛も息を引き取ります。そこに親子の蝶々が飛んでいるのが見えた、で終演。最後はスッとしていて印象的で気持ち良かった。 で、でもね、理屈屋の私は、蝶は越冬するのかな?蝶の子どもは青虫じゃないのかなぁ?とも思ったのでした。

9/13 四派よったり競演会@宮地楽器ホール

9月13日

開口一番 「初天神」 林家扇兵衛

高砂や」 三遊亭王楽

「死神」  立川志らく ここに来てグッと客席の集中度が上がった気がしたのは、私が志らくファン(志らく右翼とも言います)だからでしょうか?死神さん、迫力ありました。命のろうそくが一面に立ち並んでいる場所で「戦(いくさ)の時には雨が降る…」と低めのトーンで語られると、つい日本の情勢のことが頭をよぎりました。「アジャラモクレン」に続くまじないの言葉は「佐野研二郎、いくらなんでもパクリ過ぎだろ」でした。ちょっと…不満。

仲入り

武助馬(ぶすけうま)」  瀧川鯉昇  楽しかったです。

「幾代餅」   古今亭志ん輔   「紺屋高尾」と筋が似ている噺として知っていましたが、聴いたのは初めてです。兄貴分に連れられて行った吉原でひと目惚れした花魁・幾代と、職人の身分を隠して一夜を過ごし、真実を告げた末に夫婦になる約束をしたのが「来年三月」…。「紺屋高尾」で、「来年三月十五日」と聴き慣れているせいか、どうも語呂が悪い。でも、良い噺でした。隣の席の若い男性二人連れさんの片方は、泣いてましたよ。あとでこの方が元「しんすけお兄さん」(教育TV"おかあさんといっしょ"に出演)だと知って、ちょっとビックリ。私より10歳年上で、故・古今亭志ん朝の愛弟子だそうです。

立川志らくのシネマ落語~特別編vol.9~@紀伊國屋ホール

9月8日

「開口一番」  立川志ら松

「寝床」 立川志らく

最前列の席でしたが、このホールは見上げる角度がきつくて首が痛くなることを発見。それはともかく、1ヶ月ぶりの志らくさん、やはりこの世界の成分も私には必要だとよくわかりました。下手な義太夫を人に語って聞かせるのが好きな大旦那、その「被害」の描写が、細かくて奇想天外で可笑しい。

仲入り

宮戸川 上」 立川志らく

軍人将棋』ってなんでしょう?知らないのですが、噺を聴いているとおもしろい。その『軍人将棋』をやっていて帰宅が遅くなり、親に締め出されたお花ちゃんと、普通の将棋をやっていて同じく締め出された半七が、おじさんの家の2階で一夜を過ごすことになります。全般的に戦前軍事用語が濃い噺になっています。戦時歌謡を歌ったり。落雷をきっかけに二人が男女の仲になるシーンでは、落語には珍しく踏み込んだ表現もありました。(半七がお花の胸元に手を入れて云々) ここぞというところは軍隊調で語るので変にエッチにはならない。『疝気の虫が蕎麦の匂い目掛けて進んで行く時の感じ』で号令かけて「大砲発射!」…です。

※気になったので古今亭志ん生と、志ん朝、(かなり若い)談志の録音を聴いてみました。3人ともお花ちゃんが締め出されたのははカルタ取りして遅くなったからで、彼女の親戚は肥後の熊本です。(志らく版ではベトナムサイゴン。今はホーチミン・シティと言い足してました。) 男女の仲になるシーンは、志ん生は「ここんとこ本が破けてて」、志ん朝は「テープが切れちゃって」、談志は「行灯の灯りが消えて真っ暗になった」と、”発射”には至ってませんでした。

 

宮戸川 下 ゴースト~江戸の幻~」 立川志らく

「下」をやる噺家は殆どいないそうです。半七は陰謀に嵌り、殺されて幽霊になります。構成が凝ってましたね。前半にやった「寝床」の中で語られている“修行と思って旦那の義太夫をサシで聞き、成仏出来ない真面目な番頭の幽霊”や、落語「死神」の死神も登場します。ストーリーとしては、凄惨な殺人が続きます。最後は(配布されたプログラムや、それまでの噺で触れている)さだまさしの「関白宣言」でサゲでした。半七がお花に(あなたは)”俺より先に死んではいけない”は守ったよ、と。シネマ落語は初めてだったので、映画「ゴースト/ニューヨークの幻」のあらすじだけ読んで来ました。狂った感じの志らくが大好きですが、こういう志らくも好き。説明調になってしまわず、きちんと可笑しく楽しかったです。

“談志まつり2015”のチラシが配布物のなかにありました。11月22日(日)の志らくさんがトリの回が先行予約で当選しますように!

 

8/7 「観ずに死ねるか!『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』トークショー付き上映」@テアトル新宿

8月7日
トーク出演
立川志らく (落語家、映画監督)
高橋洋二 (放送作家)

映画は一番後ろの席で見るものだ、と思ってますが、今日はトークがあるので事前に最前列を購入。私、この映画、リアルタイムでは見てないですね。もう少し後の、満男の恋のあたりは確実に見てます。懐かしい題字。懐かしいテーマ曲。あと、6月にあった「志らく極楽寄席」で倍賞千恵子さんが歌い、志らくブルースハープで伴奏した「さくらのバラード」が映画の中でインストで出て来たのはわかりました。(リアルタイムで見ていた頃はそこまで気が付かなかった。) 映画自体、とても良かったです。トークの中で志らくさんが言ってましたが、見終わって嫌な気持ちにならない。品がある。私は映画の作りがどう、とか、ここは矛盾があるとか、には興味がなく、ただ、出て来る人物と物語に浸るだけです。マドンナ・かがり(いしだあゆみ)が、故郷の丹後に戻り、必死で働いて義母と自分と娘、3人の生活を成り立たせている明るい姿に、違和感はあまりなかったです。立川志らく高橋洋二(放送作家)のトークは、ああ、いろいろな見方があるんだなぁと思い、面白かったです。山田洋次監督はまず女性の足から見せていく。二人の鎌倉あじさい寺デートに無理やり連れて行かれた満男、寅次郎がかがりと品川で別れた後電車の中で涙をこぼしていたことを口止めされおもちゃを買ってもらったけど、彼なりに感じるものがあって家族に告げるシーン、これが満男の寅次郎への尊敬の始まりである。などなど。質問コーナーもあり、どこから寅次郎はかがりに惚れたのか、かがりはどうなのか?いや、本当はそれほど惚れ抜いたということではなかったのでは?など。客席はほぼ満席、映画ファンと志らくファンで7:3くらいの感触でした。志らくさんのおすすめは、時間があるなら第1作から第48作まで全部見ると良い、とのこと。実際彼は、一日1作ずつ見たそうです。最後までたどり着けるかどうかわかりませんが、今日は第1作見ました。

これは“絶望シネマ”特集の上映会で、『傑作絶望シネマ88』という本の発売記念だったそうです。(今日のトーク出演者の)サイン本はあと10冊です、とアナウンスがあり、つい買ってしまいました。(ちなみに、私が見た記憶があるのは、禁じられた遊び、誰も知らない、ジョニーは戦場へ行った、未来世紀ブラジル、炎628、東京暮色、の6つでした。「炎628」は若い頃に岩波ホールで見ました。客席はガラガラでしたね。ずっとあとに見た、「誰も知らない」は身につまされたのを覚えています。アンゲロプロス監督の「霧の中の風景」もあがっていたけど、まだ見ていないので、見なきゃ。)

 

8/2 立川志らく独演会@なかのZERO小ホール

7月の「大全集」は事情により知り合いに譲った為、1ヶ月半振りの志らくでした。

物事は計画的に進めよう…独り言です。

 

・開口一番 「小町」 立川怒志(たてかわ ぬし) 初高座だそうです。漢字合ってますか?「道灌」の前半ですね。

・「寄り合い酒」 立川らくみん 前座さん。女性です。よく声が通っていた。

・「洒落小町」  立川志らく この独演会は4席やることに決めているそうです。すごいなぁ!がちゃ松さんというおかみさんが出て来る噺です。浮気する夫を引きとめる為には、家に帰って心地よいと感じさせないと駄目だよ、と言うご隠居さん。そこのやりとりで、昭和歌謡?戦前歌謡?を披露してました。志らくは歌がうまいけど、好みは現代曲じゃないのですよね。(でも10月に、30周年企画でZAZEN BOYSと共演するそうで、「ZAZEN BOYSを出囃子にして」とは言っていたけど、出囃子だけではないはず。その会に行くかどうか、大いに迷ってます。)

がちゃ松さん、よく喋ります。これほど立て続けに喋れるもんだ。洒落の練習をご隠居さんとやり取りしたり、「デューク・エイセスとダークダックスとボニージャックスのメンバー入れ替えて、元通りに戻せるか」とか、いろいろ。ホントに可笑しかった。

『風吹けば 沖津白波たつ田山 夜半にや君が一人越ゆらん』と『恋しくば 尋ね来てみよ和泉なる 信田の森の恨み葛の葉』という二つの和歌がポイント。両方知っていたので、より楽しかった!

・「火焔太鼓」  立川志らく 若い頃、この噺をやった後に「十八番を安売りするな!」と談志に怒られたことも、その20数年後に「志ん生みてぇだな」と談志に言われたことも、とても嬉しい、自分にとって遺言のようなものだと話してました。本編も、細かいところに面白さが行き届いている。主人公の道具屋が今までに仕入れて失敗した物として、おかみさんが、平清盛のしびん、清少納言のおまるを例にあげるは定番ですが、野口英世の手袋、と言っておいて、「それは未来のことだろう!ここは江戸時代!」と突っ込むのです。こんな煤けた太鼓を殿様の屋敷に持って行ったらきっとひどい目に遭う、その予測のリアリティも残忍でいて面白かった。結局300両という大金で殿様がお買い上げ。50両ずつふところから出して、それに驚くおかみさん。やっぱり、志らくは毎月聴けるようにしよう。

休憩

・「欠伸指南」  立川志らく 正直な志らくさん、この暑いのに「洒落小町」やって疲れちゃいました、と短めに残り2席。でも、この噺、ストーリーに合わせて実際に欠伸するのはかなり難しいのでは?見事でした。

・「人情八百屋」  立川志らく そのまま高座に残って、最後の一席。江戸っ子の人情、心意気、と話が進むので、え?まさか「文七元結」?と思いましたが、そうではありませんでした。(当日プログラムは無かった。) 短めだったけれど、涙が出ました。

 

そういう訳で、7日の「男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋」トークショー付き上映会と、10月の「TATEKAWA BLOOD 立川志らく 談笑二人会」には行こうと思います。

 

 

インド人の猿股

「疝気の虫」で、志らくが歌うのを聴いたのが最初だったのですが、これ、昔からあったみたいです。

♪印度人の猿股  ネトネトするヨォ♪

『談志の落語  七』(静山社文庫)p.274に載ってました。

軍隊ラッパのメロディですね。

 

きりんの句

『初雪や きりんの首の 没(もぐ)るまで』

きりん柄のアクセサリーを一つ持っているんですが、これを見るたび、談志が『初雪や きりんの首の…』という句を高座で言っていたなぁと思うのです。でも、最後の5文字が思い出せない!今日、やっとみつけました。「談志の落語 六」(静山社文庫)、p.136『雪てん』の中に出て来る。大発見です(笑)。スッとしました。

志らく極楽寄席@草月ホール

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年表


立川志らく三十周年記念第二弾 高田文夫プロデュース「志らく極楽寄席」に行って来ました。

演目

・漫才  100W(ひゃくわっと)

・コント  アンガールズ

初体験。嫌ではないけれど、もう一回見に行こうとは思いませんでした。あしからず。

・落語「子別れ」 立川志らく 

ネットで検索すると「長いので上・中・下に分けて演じられる」と載っていました。上の部分をコンパクトにまとめて、最後まで行った感じでしょうか。“落語とは人間の業の肯定である”とは談志の有名な言葉ですが、今日の志らくの噺はぽろぽろ3粒くらい涙が出ました。酒と女が原因で、離縁状まで書いて別れた夫婦ですが、実は3年たっても相思相愛、3日に1度は夢に出てきたり、母親は引き取った一人息子に父親の話をしたり。そこに幸運が重なって父と息子が再会します。「子は鎹(かすがい)」、9歳の亀吉(大人びているが最後は嬉し泣きするような子なんです)が仲を取り持ち元の鞘に戻るストーリー。時々、八百屋が横で話を聞いて、いろいろ言うのがまたおもしろい。こんなうまく行くことあるかな?とも思いましたが、純愛は美しい。また、父親に小遣い50銭もらったのを口止めされた亀吉に、母親が貧乏していても(何しろ3畳に二人暮らし)人様のお金を盗むなんてとんでもない、どういう訳か言わないと玄能(先のとがっていない金槌)でぶつよ!と迫る辺りの愛情表現。堪らないです。今日も志らくさんに泣かされました。

 

休憩

スペシャトーク 立川志らく高田文夫倍賞千恵子

志らくは、山田洋次監督が認めた「寅さん博士」なんです。さくら役で出演した倍賞さんの知らないことも知っている。台詞もかなり覚えている。映画の第1作から最後の第48作まで、一日一本づつ連続して見た事もあるそうです。今日のテーマはこれです。

私は20代の何年かは毎年見てました。満男(吉岡秀隆)と泉(後藤久美子)の恋物語のあたりとか、覚えてます。そのころまでは年2回制作されてました。倍賞千恵子さんといえば、去年上映された「小さいおうち」で見事に頑固なおばあさんを演じてましたね。この映画が志らくが選ぶ、「男はつらいよ」以外の倍賞千恵子出演映画ベスト3に入っていて嬉しかった。

高田文夫が突っ込み過ぎで、志らくの喋るスキが少なかったのはやや不満。でも、志らくが「僕のもう一人の師匠です」と言うくらいの方なので、仕方ないかな。凄い65歳ですね。

最後に、志らくブルースハープで伴奏し、倍賞さんが「さくらのバラード」を歌って終了しました。

ロビーには30年の歩みの展示もありました。

 

この会とはあまり関係ありませんが、志らくツイッターで“千ツイート169番。どんな内容だったか忘れてしまったが凄いという印象だけ残っている映画。グレック・アラキの「ノーウエア」とテオ・アンゲロプロスの「永遠と一日」。それと「エコール」。”と書いていて、「おっ!『永遠と一日』だ♪」と思いました。わたし、好きなんですこの映画。

第196回 志らく一門会「アフター真打トライアル」編@内幸町ホール

一門会に初めて行ってみました。プログラムに(志らく以外の)出演者の日記があったり、“志らく一門前座日誌 6月号”が配布物の中にあったりして、楽しかったです。

・立川うおるたー 「道具屋」 前座さん。日本人。師匠である志らくもそうなので当然でしょうけれど、与太郎の台詞の時に独特の声色を使う。ちょっとやり過ぎじゃないかなぁ…と思いました。噺はおもしろかった。

立川志らら 「子ほめ」 この方含めて、5人が『真打内定』し、10月に正式発表だそうです。

・立川らく朝 「夏の医者~健康落語ヴァージョン」 あとでホームページで確認しましたが、私より10歳くらい年上の方です。46歳まで内科の医者をやってから志らくに入門したそうです。すごいなぁ。人生経験というか、医師として患者と関わって来た経験なのか、天性か努力か、その両方か、余裕さえあるように思えた。面白かった。うわばみが呑み込んでしまうものに、ドローンとか、オスプレイとか時事問題も入れて。

仲入り

 

立川らく里 「親子酒」 酔っ払った様子がこれまた、可笑しい。

落語の次に続けて、「かっぽれ」を踊りました。尻っぱしょりに、たすき掛けで。立川流は歌舞音曲も出来なくちゃ上のランクに上がれないのです。落語家が踊るの初めてナマで見ました。本式の「踊り」はよく知らないですが、もうちょっと色気があると、なお良いのかな。でも、メリハリのある所作もある種カッコ良くて、器械体操ではなかったです。(もっと下手な若手能楽師の仕舞は何度も見たことがあります。)

立川志らく 「品川心中」 かっぽれの次だったので、踊りの話題から。自分は「奴さん」を5秒くらいやって談志にO.Kもらったそうです。談志自身も(高座で)踊ったことないんじゃないかとのこと。テレビ番組でジーン・ケリーに扮してタップやってる動画がありますが、あれは別物ってことでしょう。

長い噺で、登場人物も多く、動きもあって可笑しくて良いのだけれど、最後のお染めの台詞、(年を取って女郎としてお金に行き詰まり、もう死んでしまおう、でもせめて心中しないと恥ずかしいと勝手に相手(金蔵)を決め、結局品川の海に突き落とす。自分は別の客が金を都合してくれたと引き止められて、そのまま去ってしまう。遠浅だったので生き残った金蔵が親分にことの次第を話し、幽霊になって出て来る芝居を打って仕返しをされる)、“てにをは”は不正確ですが、「私も死にます」では…なんだかスッキリしませんでした。どうしてだろう。そうそう、親分に言われて金蔵が自分で考えた戒名が『十一月二十三日は金蔵感謝の日』、これはヒットでした!

映画みました

映画「百日紅~Miss HOKUSAI」を見ました。(アニメーション映画です。)葛飾北斎の娘が主人公で、立川談春が声の出演をしている、のが動機です。原作は杉浦日向子、監督は原 恵一。

見て良かった。江戸の風景が絵になって、私にも少しわかった気がしました。談春が誰の声をやっているのかは、最後のクレジットを見るまでわからず。見て、そうか!と思いました。

(百日紅サルスベリと読みます。念のため。)