落語を聴いた日

ナマで落語を聴いた日の覚書と、落語に関係するあれこれについて書きます。

12/6 第三十回鎌倉はなし会 立川志らく独演会;ゲスト遠峰あこ@鎌倉芸術館・小ホール

12月6日

開口一番 「看板のピン」 立川らくぼ 安定して面白かった。目が輝いている感じも良かったです。

「長短」 立川志らく ついこの間聴いたばかりの噺でしたが、気の長い男を喋る志らくはレアな感じで楽しい。煙管に火がつかないところとかもおもしろかった。ここだったかどうか覚えていませんが、志らくさん毎回テレビドラマ『赤めだか』(12月28日午後9時~11時25分、TBS)の話をします。で、当時の談春の容貌についても、志らく役の役者さんのことも、段々悪口ぽくなくなって来ていますね。私の落語の入り口は2年ほど前に『赤めだか』を読んだことですから、このドラマは見る予定。実は、(談志役の)ビートたけしは良いと思ったことないのですが、談志が認めてる人だから見ます。(談春役の)ニノはかなり前の映画(「青の炎」)で役者として良いなぁと思った。

金明竹」 立川志らく 大阪の商家から言付けに来たアメリカ人(一般の落語では日本人)の言い立て(?)、いつか覚えようと、図書館で文字になったのコピーして手元に置いてあります。でも、なかなか覚えられません。何回聞いても可笑しい。

仲入り

「唄とアコーディオン」 遠峰あこ 去年のこの会でもゲスト出演して、「かんかんのう」を唄った若い女性芸人さん。今回は「ホーハイ節」(青森民謡)が良かった。「ホーハイ ホーハイ」という部分、1オクターブ上下するんですが、上手いっ!

「芝浜」 立川志らく ”年末には芝浜”というのが落語ファンのなかにはあるようですが、初心者の私は特にそういうものはありません。元々「三題噺」だった軽い人情噺を、談志と先代の三遊亭圓楽が大きくしたのだとマクラで志らくが話してました。前半の二つの演目と、この「芝浜」はちょっと気合いが違った気がしました。談志の聖地・年末のよみうりホールで4年間、志らくは「芝浜」をやって来ましたが、今年の演目は「死神スペシャル」です。「芝浜」はここでやる。何が違うかというと、魚屋の女房が亭主の勝五郎を起こす、その前の晩の約束のシーン(明日から商いに行くからあと5合、酒を飲ませてくれ)から始まったのです。そしてそこで、飲みたいから飲むんじゃない、眠れないから飲むんだ、と勝五郎に言わせた。酒乱状態で20日も河岸に行かず、貧乏のどん底。自分でもわかっているが、どうしようもない状態。どの酒屋も、ご近所ももう酒を恵んではくれない。死のうか(勝五郎)、死のう(女房)。いや俺は死にたくねぇ、飲ませてくれ!、というとんでもない男の悲痛な叫び。これは心に響きましたよ。  途中、ウミウシのギャグとか、手が長ーく伸びて、起こす時間を間違えた女房を引っぱたいてまた縮むとか、いろいろ可笑しいことも入れて終盤。大晦日です。百八の鐘が鳴るなかで、女房があれは夢でなく本当に財布を拾ったんだと告白、怒る勝五郎。ぶっても蹴ってもいいけど捨てないで!拾った財布に四十二両入っていて魚屋やめるって言うから(大家さんにも訊ねられて相談し)嘘ついたの。魚屋やってるあなたが好きなの。魚のことをいきいきと話してくれるあなたが…。このあたりで、やっぱり涙が滲みました。もっと泣いてるお客もいた。最後はすっきり、また夢になるといけねぇ、で終演。良かったです。

※追記 もしかしたら、志らくの「芝浜」はいつも前夜のシーンから始まるのかもしれません。

※12/8追記 mixiコメントでご指摘いただき、「芝浜」を大きくした人の名前を加えました。