落語を聴いた日

ナマで落語を聴いた日の覚書と、落語に関係するあれこれについて書きます。

5/8 らくご錬金術 よんさん会@レフカダ新宿

5月8日

初めて行ってみました。  らくご錬金術の副題は【立川志ら乃 創作落語ネタ下ろしの会@レフカダ新宿】ですが、5月は怒涛の4週連続3席古典落語ネタ下ろし、だそうです。  私は古典落語の方が好きなので、この機会にと思って。なのにすみません、遅刻したので一席目は終盤から聴きました。

「ずっこけ」  立川志ら乃   すっかり酔っ払った男が、塀の外側は皆んなのものだ!と用を足すあたりから。

口調に勢いがあって下品に(あまり)ならないところが好きです。森下仁丹の広告の絵、充分わかりますよ。でも20代の若者は知らないのかな。

ネタ下ろしとはその落語家にとっての初演ということですよね。確かに毎週3席、計12席を仕上げるのは大変でしょう。この方には、追い込まれて発揮する力があるのだと思う。まだ1週目ですが。

「蛙茶番」(かわずちゃばん)    立川志ら乃     素人芝居を題材にした噺です。おもしろかったけど、シモネタのところは余りケラケラ笑ってもなぁ、と控え目に笑いました。箸が転げても可笑しい年齢ではないので。

中入り

「  ?   」  昔昔亭A太郎(せきせきていえーたろう)    新作落語。こういう感じが現代の若者に受ける笑いなのかも。

「夢金」    立川志ら乃    タイトルそのものがオチをあらわしている古典落語で、最後はわかっているけどおもしろかった。フライヤーに「攻めの初夏!」と載っていました。まさに攻めてます。

5/2 第三回「新・志らく百席」@横浜にぎわい座

5月2日

開口一番 「千早ふる」 立川志ら鈴 このタイトルは今、コミック、アニメ映画上映と話題になっているし、元々とても有名な噺ですね。 私は最初に百人一首の歌として知ったので、「ちはやぶる」と読みたくなります。 そして、"知ったかぶり"がテーマなので、事前発表されている志らくの「手紙無筆」と被る。似た感じになってしまうので、避けるべきなのに…と、後で志らくが言ってました。まぁ、仕方ない。噺の流れは良い感じで行って、37歳から前座で云々とご自分のことをチラッと言ったところが一番おもしろかった。でも、竜田川は力士なのに、竜田太夫と最後まで言っていたのは残念。というか、不思議でした。気付いていたのかどうか。竜田太夫という言い方もアリなのでしょうか?

「手紙無筆」 立川志らく という訳で、続いて、字が読めないのに読める!と言い張ってむちゃくちゃを言う男の噺。発信側と受信側、あとは会場やら何やらの全体が絡み合ったのか、とても充実してました。次の噺も良かったので、休憩時間に6月のチケット買いに走ったくらい(笑) 読めないのに読める言い訳で、俺は鳥目だ、今は昼です、みみずくの鳥目だ、がヒット!でしたね。最後には手紙取り上げて、めぇ~と鳴きながら呑み込んでしまう。素晴らしい。

「小言幸兵衛」 立川志らく この噺は志らくさんで聴くのは2回目。1回目は、なんだか理屈っぽくてつまらないなぁと思った記憶があり。でも今夜は、幸兵衛(長屋の大家)の妄想炸裂が私の波長に合いました。この長屋に仕立て屋一家が引っ越してくると、向かいの古着屋のひとり娘と心中騒動になるからだめだ、と。飛び込む直前の金光教のお祈りの歌、志らくさん得意です。 ところで仕立て屋の息子の名前が「ぷよ」。赤ん坊の時ぷよぷよしてて可愛かったから。じゃあ、「ぷに」でも良いってことだよな…と私の妄想もふくらみました。(ぷに、といえば水野由結ちゃん。) 「逃~げ~たぁ」で始まる浪曲子守唄、もしかして知らないだろう若い人々も客席にいました。(チケット完売)

中入り

井戸の茶碗」 立川志らく これも志らくさんで2回目。正直者が三人そろうと大変になるという噺。貧乏とか、武士の意地とか、親子の情とかが絡むのですが、泣く噺ではなかった。(私は時と場合によってよく泣きます。)説教くさくならない。で、そうだなぁと腑に落ちて、笑うところが沢山あって、本当に楽しかった。勢いがありつつ、クレイジーではなくておもしろい。こういう志らくも良い。 談志と志ん朝の物まねで「笠碁」を下北沢でやります(元は、談志が機嫌損ねて独演会に1時間半遅刻(駅まで来て怒って帰った)、志らくは開口一番で15分「抜け雀」のあと4席目に上がったらお客が怒り出してその場で演じたそうです。)(下町ダニーローズ第18回公演(5/14~5/29)のことですね。)、新しくCD作りました、サインします等の宣伝コーナーを冒頭にやって良い雰囲気でした。終わってからやるより、この順番が良いと思う。 

4/24 第三十二回 鎌倉はなし会 立川志らく独演会@鎌倉芸術館

4月24日

開口一番   「権助魚」  立川志ら鈴

 

源平盛衰記」     立川志らく

ストーリーは進みつつ、脱線しても、また戻るところが素晴らしい!師匠談志、高座で、弁慶が牛若丸に「3分28秒テクニカルノックアウト!」と語ったけれど、ボクシングは1ラウンド3分なので間違えてます云々という話がありましたが、昭和43年2月の「第26回ひとり会」の録音に確かにそう入ってますね。(立川談志「ひとり会」落語CD全集/第十集を聴いていて発見。) 熊谷直実平敦盛のくだり、"カマを掘る"の意味を知らないお客さんもいたのかも?私は(現場は知りませんが(笑))知ってますよ。

中入り

 

「紺屋高尾」    立川志らく  前半、言い回しを省いたところが幾つかあったのは、高尾が紺屋の女房になってからをじっくり語りたかったのか。     かなり頻繁に笑いどころがありつつ、最後のシーンでは、やっぱり泣きました。いくら軽石で擦っても、爪の中の青い色が消えなくなって嬉しい、と高尾が言うんです。

二つとも志らくさんで聴いたことのある噺だったけれど、何回聴いても良いものは良い。

横浜ベイスターズの悪口をラジオで言った顚末、面白かった。それを大船で言う志らくは度胸あるね。

 

4/19 立川志らく落語大全集~クレージー落語特集~@国立演芸場

4月19日

開口一番 「世界の終わり」 立川がじら この秋に二つ目昇進披露会をやって、そこでO.Kもらえたら、二つ目昇進が本決定だそうです。創作噺。どうやってこの噺終わるのか?と思ったら…ズッコケました。

「目薬・義眼」 立川志らく 志らくさんの会にはA41枚くらいのリーフレット(今考えていることとか解説とかが載っている)が配布されることが多くて、それを読むの好きです。この二つの噺については、落語の中で二位三位を争うくだらない噺と書いてありました。ちなみに一位は「金玉医者」。 高座ではまず、熊本地震の話題に触れ、さらに2011年の大震災後の"自粛"ムードのなかで3月に予定通り独演会をやったら、客席は半分くらい埋まった。笑っている観客の中にクドカンがいて、こういう時にも人々は笑いを欲しているのだ!と思って、出来たのがドラマ「あまちゃん」とのこと。 二つ連続してやりました。「目薬」でおかみさんのお尻撫でまわすところ、可笑しかった。「義眼」で、医者が目玉をくり抜く時に麻酔しなくてもこの歌を聞けば痛くありませんから、と歌ったのが「どれみふぁそーらふぁ み れ ど」でした。意外な歌が出てきて痛くないでしょ、と。ヤマハ音楽教室ですね。

「転宅」 立川志らく 間抜けな泥棒の噺。ネタおろしだそうです。泥棒に入った先がお妾の家。実は自分も元は泥棒、今の旦那は嫌、あんたのような男らしい泥棒と夫婦になりたい、浮気しちゃだめだからと財布取られ(預かっておくと言われ)て帰る。翌日行くと、誰もいない様子。向かいの家の人に聞くと、引越して行ったよ、今に騙された男がやって来るから、町内でそいつを見てやろうと集まって覗き見している…、と事の顛末を聞かされる。2階に用心棒がいるから静かにしてと脅された話をすると、「よく見ろ、あの家は平屋だ」。その女は元は旅の義太夫語りだった。 楽しく笑いましたが、お腹が痛くなるほどは笑わなかった。

中入り

「鉄拐」(てっかい) 立川志らく (鉄拐の拐は、誘拐の拐で、手偏なんだけどなぁ、木偏になってる印刷物もありました。)(細かくてヤな奴だね。) 中国を舞台にした落語はこれだけだそうです。でも、登場する人間の名前は日本人の名前。不思議です。 上海の大店の創立記念宴席の出し物の大トリを探せと命じられた番頭が、仙境から八仙人の一人、鉄拐を連れてくる。ところで八仙人が「八千人」に聞こえたのですが、それが本来のイントネーションなのかな。たとえば「東海道」も、JR東海道新幹線の車内アナウンスが現代では多数派だけど、談志も志らくも頭を強く言う。「東海道五十三次」とつながると、よりカッコいい、あのイントネーションね。 それは、こっちへ置いといて、この噺、結構長くてストーリーもやや複雑。宴席での出し物や仙術は奇想天外。蛇を呑むカエルとか、人魚の踊り食いとか。鉄拐は、膨れた腹をなでると中からもう一人の小振りな鉄拐を出すことが出来る。出てくる時に、痩せこけた顔が赤くなり、顎がはずれ、喉の奥から手が出て、頭が出てという描写はリアルだった。合間、合間に小さい鳥が落ちました、コトリ。とか、鳩が何か落としました、ふーん(糞)とかのギャグがある。上海の寄席に出ることになり、10日連続興業では客が飽きて落ち目になり、また別の「張果老」(ちょうかろう)という仙人が連れられてくる。(このあたり、落語ファンしかわからないような言葉や言い回しが沢山だったかも。)この仙人は瓢箪から本物の馬を出すことが出来る。が、鉄拐がこっそりその馬を瓢箪から吸い出してしまい、張果老は何も出せなくなる。一方、鉄拐は馬を吸い込んだ為に詰まってもう一人の鉄拐を出せなくなる。では、代わりにお客を吸い込むことにするとこれが受ける。(そのお客たちをどうやって出すのかは触れず。)ある時、ずいぶん腹の中で暴れる客がいて苦しい。見ると「俺の馬を返せ!」と張果老が中に入っていた、でいったん終わり。大作です。これをやる人はあまりいない。生でもう二度と聴くことないかもしれません。 リーフレットに鉄拐仙人の存在感では、自分は師匠・談志に負けると書いてあったけれど、たぶんそうでしょうね。私は録音でしか談志の鉄拐を聴いていないけれど。談志のサゲは、李白陶淵明が入ってた、です。大酒呑みの中国の詩人の名前、もう身近ではないですね。 あれ?志らくが3曲歌ったのはどのあたりだったか、わからなくなりました。まず、美空ひばり「悲しい酒」のメロディで歌詞がどんぐりころころ、さだまさし防人の詩」のメロディで、まず寿限無、そして芝浜。そうか、鉄拐が寄席に出始めて、弟子志願者が来るあたりだ。 落語が終わってからも緞帳はおりず、談志のサゲの話と、5月の下町ダニーローズ『不幸の家族』の宣伝もありました。

4/17 立川流広小路寄席@お江戸上野広小路亭

初めて行きました。「寄席」初体験です。

前座 (お名前メモせず、すみません。)「道灌」と、「真田小僧」だったと思います。

蜘蛛駕籠」 立川らく人 この方は、志らくさんのホームページに二つ目昇進披露の動画がアップされているのを見たことがあるけれど、落語を聴くのは初めて。あの動画よりたくましく、おもしろかった。

「道具屋」 立川笑二 らく人さんの話では、遅刻しそうになると連絡があったそうです。何となく…「いま到着しました!」感あったかな。談笑門下の二つ目さんです。きっちりおもしろかった。

「矢橋船」(やばせぶね) 立川雲水 あとで検索すると、1988年に立川談志に入門、2009年の真打昇進までの名前は立川志雲。上方落語を演ずる、と載っていました。船の中の言葉遊びがみっちりあって、決して飽きることなく良かった。赤い色のものを三つ重ねるところで、「赤旗に、あか(赤)んべする、赤尾敏」がサイコー。でも、あまり笑ってる人がいなかったのは、赤尾敏の知名度かな。上方落語の味わいもしっかりあって、23歳まで大阪で暮らした私には懐かしかった。文字で書くと「どないもならん!」というフレーズ、好きです。

「寝床」 立川龍志 今日の落語家のなかで最年長、昭和23年生まれ、45年(1970年)、立川談志に入門、と今調べました。いわゆる志の輔以前の方ですね。おもしろいのですが、志らくのクレイジーな寝床を聴いているので、普通におもしろかった。

仲入り

「?」(「親子酒」の覚せい剤版) 立川三四楼 この方は、まず快楽亭ブラックに入門後、2005年に立川談志楼門下に移った二つ目さん。(移ったのはブラックさんが除名されたからと載ってました。) 中途半端で…つまらなかった。この方はもっと若い人には支持されてるのかしら?

長屋の花見」 立川志らべ 志らく門下の二つ目さん。普通におもしろかった。

「子ほめ」 立川志ら乃 志らく門下の真打。噺もおもしろかったけれど、断トツに声が大きくて威勢が良いのが好感持てますね。(昨年、さくら学院の「落語の公開授業」で講師した方です。)

尺八漫談 はた のぼる ご高齢。1927年3月15日生まれ。管楽器で漫談出来るの?と思いましたが、何も演奏しながら喋る必要は無いのですね。鈴は最前列のお客に振らせて。敬老精神で笑った面もあるけれど、やっぱりご立派ですよ。

「ねずみ」 立川左平次 昨年真打に昇進したばかり。立川左談次門下だそうです。じっくり語りたかっただろうし、聴きたかったけれど、演者が一人欠席になったが補充なし。では…とそれぞれが(特に前半)比較的長くしゃべった為、持ち時間15分になりました、と初めに話してました。これはかわいそう。少しばかり早口で、きっちり名工・左甚五郎にまつわる噺でした。場が引き締まった感じ。

4/5 ~志らく一門会一年間限定スペシャル~シネマ落語の会@渋谷伝承ホール

4月5日

一、落語バトル(前座、二つ目、真打、が10分ずつやって、一番良かった人の欄に客が丸を記入して投票。終演後掲示されてました。) 

「紙入れ」 立川志ら鈴 落語の歴史に詳しくないけれど、たぶん、男性がやってきた芸能なのでしょう。それを女性がやる難しさはありますね。特におかみさんのところ。色気があると邪魔なような、でも何もないとどうなのかな?とか。一番最初の切り込み方が良かった。

「ざる屋」 立川志獅丸 安定していて、おもしろい。この二つって両立しないこともありますよね。私はこの人に投票しました。

「真珠の誘惑」 立川らく朝 リーフレットに健康落語をやりますと書いてありました。60代で真打になった元・医者の異色落語家、として生きていける人なんだろうなぁ。

一、「堪忍袋」 立川志らく この噺までが、最後のマンハッタンにつながるとは!

一、「品川心中・上」 立川志らく 

仲入り

一、シネマ落語「マンハッタン」 立川志らく まず、「品川心中エピソード1」というべきサイドストーリーが1席。いったん高座から下がる予定が、「足が痺れたので」そのまま続きます。志らくさん、普段は落語なら2時間でも正座できるそうですが、体調大丈夫かな?初心者の私には普通に見えましたが。 で、「品川心中・下」の部分に入っていきます。 貸本屋の金蔵は「バカきん」とか「セコきん」とか呼ばれ、突き放した描き方をされている人だと思うのですが、ここでは純愛物語の中心人物になっていました。映画「マンハッタン」を見ていないので、映画との絡みの面白さはわかりませんでした。江戸時代の17歳は子どもなんだろうか?と思ったり。でも、最後にすべてが一つにつながる構成はすごいなと思った。 やっぱり5月も行きたくなり、チケット購入。

3/26 ギュウ農アルタ寄席 立川志らく、談笑 二人会@スタジオアルタ

3月26日

「ギュウ農フェス」第3部ということで、第2部には私の好きなベルハーことBELLRING少女ハートも出演したイベントの特別企画でした。
進行のギュウゾウ(電撃ネットワーク)さんによると、第3部は1部、2部とはかなり客層が違っていたそうです。でも、ベルハーグッズの洋服着た人もいましたよ。スタジオで落語は珍しいですね。

 

「イラサリマケー」 立川談笑 新宿を舞台にした談笑さんの噺。

「片棒」 立川談笑 一席では高座をおりられない、ともう一席。談笑ファン(談笑さんは「談笑マニア」と呼ぶのでしょうか?)はこういうのが好きなんでしょうね。アブナイ感じとか、オーバーアクションだったりするのですが、筋はそんなにハジケていないかな。前に聴いた志らくの「片棒」の強烈さの方が印象深い。

「らくだ」 立川志らく ここで「らくだ」が聴けるとは思わず、来て良かったと思いました。段々変化して行きますね。それを一番感じたのは、雨の中のらくだを回想するシーン。傘もささずに突っ立っているらくだを、皆はバカだと言うけれど、屑屋が行って聞いてみると兄貴分(らくだの弔いをやる、丁の目の半次)が風邪引いて寝込んでいて悲しいのだと。その時だけは、ほんの少し良い人なのかと思った、となっていました。その後は、サッと雨がやみ、ぬかるみに描いた兄貴分の顔が気に入ったなら買えだの、買ったのだから泥を袂に入れて持って行けだの、もう一回見たいから元に戻せだの、無茶苦茶なことを言い、聞かなければ殴る。それを見ていた子ども達が笑うのだけど、その中に屑屋の子も実は居て、周囲に合わせて悔しいけど笑っている。それがまた、屑屋にとっては悔しい。でも力の強いらくだに反撃しても、負けて殺されるのがオチだから逆らえない。ジンと来るところです。それにしても、このらくだ(らくだはあだ名で本名は馬さん)って人は、どこかに居そうな人だ。悪い奴だが気になる。私の周りにはいませんけどね。 最後、転んで樽かららくだの死骸を落としてしまい、探しに戻って酔っ払って寝ている願人坊主を拾う。焼き場に入れられてさすがに熱く、飛び出した坊主、かんかんのうを踊ってる、で終わりました。ちなみに志らくさんは、アルタに何の思い入れもなく、待ち合わせすらしたことがないそうです。葬式の噺や死人の噺で良いのかという話題、自分たちは立川流のB面(やわらかい方は志の輔談春)、B面には名曲が多いという話題は、3人の時に出ていたかな。客層に合わせて噺を変えることはないともおっしゃってました。

落語が終わってから、ギュウゾウさん含め3人がステージに立ってしばしトーク。撮影O.Kになると、みなさん携帯向けてました。最後に観客も一緒に撮影。はい、遠慮なく真っ先にステージに近づきましたよ。でも、あとから大勢来て、背の高い人の陰で写ってないかも。 15日にライヴに行って以来、現実がドーンと降って来て、私にしては久しぶりの生パフォーマンスだったので、高揚してますね。落ち着こう。 

 

 

 

2/26 立川志らく独演会@銀座ブロッサム

2月26日

「黄金の大黒」(きんのだいこく)  立川らく次 安定して楽しかった。長屋の人々の個性もそれぞれわかって、一枚きりの羽織(絽で袷で!紋が三蓋松ほか3種類付いている!)を順に回して着て大家におめでたい席の口上を述べて行く。最後に黄金の大黒様が床の間からとことこ歩いて出て行こうとするので、引き止めると「あんまり楽しいので恵比寿も連れてくる」で終わり。

居残り佐平次」  立川志らく フライヤーには"元祖・幕末太陽傳"と書かれていました。「幕末太陽傳」は川島雄三監督の映画、主演はフランキー堺です。この映画は素晴らしい、でもフランキー堺にはもっと良い映画がある、と枕で言ってました。私はこの映画はYouTubeで見てとても好きです。居残りというのは、遊郭で遊んで金を払えずそこに残っている。居続けは、一夜で帰らず遊び続けて代金を支払う上客。佐平次、店の若い衆に代わり番でして…とお金を催促されるとまずはごまかす。理屈でもごまかすけれど、声でもごまかす。ギャッ、とか、ピーッ、スイッチョン、は今まで聴いたことありましたが、あかちゃんあかちゃん、や、モスラの島の住民の踊りの歌?は初めて聴きました。ごまかし切れなくなり、布団部屋に放り込まれるが、忙しい品川の大店のこと、客に手が回らなくなる時もある。刺身は来たが下地(醤油)が来ないとぶつぶつ言っている客の声を聴きつけて、小皿にそばつゆの残りを入れて持って行く佐平次。その他、掃除、お運び、三味線の音合わせなど、店の人々の手伝いを勝手にしたり、客を喜ばせたりして、「居残(いの)どーん、13番さんお座敷~」と幇間のようにお座敷がかかるようになる。となると若い衆に入っていたご祝儀はみんな彼の懐へ入るようになり、不満がつもり、店の主人に呼び出される。ここでまた佐平次、上手く言いくるめて金と着物までもらって出て行く。サゲは、出て行く佐平次の姿に花魁たちが「居残り惜しい」(お名残り惜しい)と声をかけてました。ここは談志のサゲ(せめて裏から叩き出して欲しいという若い衆に旦那が、「裏を返されたら後が怖い」)から変えてましたね。マクラも面白かったけれど(ゲスの極み、を圓生、スマップ謝罪会見は立川流にたとえて等々)、もちろん本編の聴き応えたっぷりでした。

仲入り

「品川心中」  立川志らく 金蔵は死にたくなるような洒落を言う男で、ばか金とも呼ばれている。「私は金蔵です、あそこにあるのは雑巾です」とか。で、通いつめた遊郭の女・お染に心中(形式的には店のトップだが年を取って客が減り、金もなく、悔しい思いをしたので死にたいが、せめて心中にして話題になりたい)の相手として選ばれてしまう。結局遠浅の海で助かって、今度は親分の助けをもらって仕返しする噺です。前回聴いた時、お染が最後に「死にます」と言ったのがスッキリしないと書きました。今回は、「それなら俺も死ぬ」と金蔵が続けて、ストンと落ちました。見事に話が初めに戻ってる。

毎回楽しみにしている、プログラムの志らくの言葉。"今年は志らくという落語家が変わろうとしている気がする。"から始まってました。この3年弱しか知らないので、何とも言えませんが、変わる志らくさんも聴きたいです。実は先週の公開らく塾にも行ってます。7日の昼公演、迷ってます。「死神」はどうも敬遠したくなるのですよ。

1/19 立川志らく落語大全集~談志十八番の巻~@国立演芸場

1月19日

開口一番 「新聞記事」 立川らく者 売れない役者を10年やって入門したので役者の者を取って"らく者"です。とのこと。そういう事前情報を話すのは吉なのか凶なのか。とにかく、人に見られることは慣れている感じがしました。

「代書屋」 立川志らく あらかじめご自分で"卑怯な手を使います"と言っていたのは、次の「五人廻し」にも出て来た、浪速で商人やってるアメリカ人のことかな。「金明竹」に登場し、有名な人ですね。でも楽しい。 当日配布のリーフレットに、枝雀師匠の「代書屋」みたいには出来ない、と書いてありました。私は大阪出身なので、米朝枝雀もこどもの頃からテレビで知っていましたが、動画ですがちゃんと落語を聴いたのはこの数年。確かに枝雀の「代書屋」はおもしろい。志らくだと、「二行抹消!」という代書屋の堅物で困って怒る感じが弱い。

「五人廻し」 立川志らく 花魁の喜瀬川は売れっ子で、客から客へ回らなければならないけれど、上客の杢兵衛(もくべえ)大尽とずっと一緒にいて動いてくれない。待ちくたびれた客が店の者(喜助)をみつけ、喜助が弁解して回る噺。「蘇州夜曲」、「米国の国歌」のメロディで君が代を歌うシーンは志らくならでは!(後者は松元ヒロさんもやっていますが、どちらかがパクッた訳ではなく、自然発生的にそうなったとのこと。)  物真似とか、人名とか、20代の人にはわからないだろうなぁという部分もいろいろありました。私も春風亭柳昇(ですよね?)のふわふわっとした喋り方はわかっても、金馬はわかりませんでした。赤尾敏がどんな人物なのかは知ってます。 

ドラマ「赤めだか」の話題はどの噺にも出て来たかな。私も年末に見ました。最後に「このドラマはフィクションで実在する団体、個人とは云々」という文章が出たので、これはニノが爽やかに談春を演じるドラマと思えば良いのです。でも、前座4人のその後にも触れていて、志らく談春を抜いて真打になったことも出て来る。これは事実ですから、あれ?ちょっと矛盾するよなぁ…とも思いました。これはドラマの感想。

備忘メモとして。一人目:通常版、二人目:右翼、三人目:落語家物真似、四人目:例のアメリカ人、五人目:杢兵衛、でした。

中入り

源平盛衰記」 立川志らく 志らくさんの袴姿は初めて見たかも。座布団も純白のになってました。会場に着いた頃に、ふと思い出した。那須与一のくだり、自分が今年に入ってから能楽堂野村萬斎のアイで見た(聴いた)こと。でも、能と落語は別ですから、いいや。もちろん、談志の録音物も聴いてます。ストーリーを進めながら、合間にいろいろな話題が入って来て面白かった。で、ちゃんと本筋に戻ります。一番面白かったのは、「ここから講談に入ります」と言って語り始め、腿をパパンパンパンと叩いて「痛ぇ」と言ったところ。(皇室のキコさんも同じ言葉をこぼした話題が、どこかで出てました。)木曽義仲が京に入って乱暴狼藉のくだりでは、ずっと前に狂言「猫間」見た事思い出しました。確か、茂山七五三(しげやま・しめ)さんで、座った姿勢から真後ろに倒れるの凄かった。敦盛のくだりも、壇ノ浦での平家没落のくだりも、能楽や演劇「子午線の祀り」で見たものとの違いが返って楽しかった。元を知っているのは良いことだ。漢詩は、あとからネットで調べてうろ覚えの裏づけ見つけました。鞭聲粛粛夜過河/鞭聲粛々夜河を過る(べんせいしゅくしゅく よるかわをわたる)ですね。鞭聲が弁慶にかけてある。

12/23 今年最後の立川志らく独演会@よみうりホール

12月23日

「短命」 立川志らく 前座なし。いきなり志らくでした。4年連続して年末、この会場で「芝浜」をやって来たが、今日は「芝浜」をやらない会です。と初っ端から宣言。勿論フライヤー等でも"死神スペシャル"と告知しています。そして、30秒の芝浜も披露。さだまさしの『防人の詩』(さきもりのうた)の替え歌で。「短命」、楽しかった。終盤で主人公のおかみさんが練習中の蝦蟇の油売りの口上も聴けるし。

「そこつ長屋」 立川志らく これが最高に良かった。隅々が面白くて、かといって悪い意味で"隙がない"のとも違う。なんと言っても、自分が死んだことも気付かず家に帰って来るうっかり者の噺ですから。死が登場するのだけれど、暗くはならない。なお、そこつは漢字で粗忽ですが、プログラムは平仮名でした。

「死神」  立川志らく  三遊亭圓朝グリム童話を翻案して明治時代に作ったといわれている噺。私自身、このストーリーは子どもの頃聞いたか読んだような気がします。ちょっと不思議な感じの噺だなぁと思います。日本とヨーロッパの雰囲気が混在してるからかな。あ、死神がその場からいなくなる呪文、アジャラモクレンの続きは「赤めだか云々」(笑)でした。談春が原作者のテレビ番組をしっかり宣伝する志らく。(語呂もあまりよくないし、露骨なので2回目からはモニャモニャで噺の筋を進めてました。)

仲入り

「死神後日談」 立川志らく 舞台は昭和20年、広島。セリフにもところどころ、広島弁のようなのが入ってました。これは、なんだったのだろう。数日たっても、私にはよく理解できません。仲入り前の3つの噺の登場人物やエピソードが散りばめられていたり、面白いところも沢山あるのです。説明臭くもない。登場人物は多かったけれど、きちんと誰かわかった。配布されたリーフレットには、数年前に演劇らくごで発表した「死神が舞い降りた街」を落語にする、と掲載されてました。ベースは、ゴーリキの「どん底」、志らくが一番好きな海外の戯曲だそうです。(私は「どん底」は読んでいません。)もしかして、志らくさんは現在の日本や世界に絶望してるのかな?とも思ったけれど、どうも違う気がする。見方によっては政治的な部分もあったけど。これは落語なのだろうか?と書いたら志らくに対する侮辱にあたるのか?そうでもないような。 「短命」のマクラで、談志信者のみなさん、私に談志の幻影を求めないでください、とも言ってたなぁ。聴き応えのある噺ではあったし、私はこれからも志らくの独演会に行きます。まずは、1月19日の大全集です。