落語を聴いた日

ナマで落語を聴いた日の覚書と、落語に関係するあれこれについて書きます。

4/17 立川流広小路寄席@お江戸上野広小路亭

初めて行きました。「寄席」初体験です。

前座 (お名前メモせず、すみません。)「道灌」と、「真田小僧」だったと思います。

蜘蛛駕籠」 立川らく人 この方は、志らくさんのホームページに二つ目昇進披露の動画がアップされているのを見たことがあるけれど、落語を聴くのは初めて。あの動画よりたくましく、おもしろかった。

「道具屋」 立川笑二 らく人さんの話では、遅刻しそうになると連絡があったそうです。何となく…「いま到着しました!」感あったかな。談笑門下の二つ目さんです。きっちりおもしろかった。

「矢橋船」(やばせぶね) 立川雲水 あとで検索すると、1988年に立川談志に入門、2009年の真打昇進までの名前は立川志雲。上方落語を演ずる、と載っていました。船の中の言葉遊びがみっちりあって、決して飽きることなく良かった。赤い色のものを三つ重ねるところで、「赤旗に、あか(赤)んべする、赤尾敏」がサイコー。でも、あまり笑ってる人がいなかったのは、赤尾敏の知名度かな。上方落語の味わいもしっかりあって、23歳まで大阪で暮らした私には懐かしかった。文字で書くと「どないもならん!」というフレーズ、好きです。

「寝床」 立川龍志 今日の落語家のなかで最年長、昭和23年生まれ、45年(1970年)、立川談志に入門、と今調べました。いわゆる志の輔以前の方ですね。おもしろいのですが、志らくのクレイジーな寝床を聴いているので、普通におもしろかった。

仲入り

「?」(「親子酒」の覚せい剤版) 立川三四楼 この方は、まず快楽亭ブラックに入門後、2005年に立川談志楼門下に移った二つ目さん。(移ったのはブラックさんが除名されたからと載ってました。) 中途半端で…つまらなかった。この方はもっと若い人には支持されてるのかしら?

長屋の花見」 立川志らべ 志らく門下の二つ目さん。普通におもしろかった。

「子ほめ」 立川志ら乃 志らく門下の真打。噺もおもしろかったけれど、断トツに声が大きくて威勢が良いのが好感持てますね。(昨年、さくら学院の「落語の公開授業」で講師した方です。)

尺八漫談 はた のぼる ご高齢。1927年3月15日生まれ。管楽器で漫談出来るの?と思いましたが、何も演奏しながら喋る必要は無いのですね。鈴は最前列のお客に振らせて。敬老精神で笑った面もあるけれど、やっぱりご立派ですよ。

「ねずみ」 立川左平次 昨年真打に昇進したばかり。立川左談次門下だそうです。じっくり語りたかっただろうし、聴きたかったけれど、演者が一人欠席になったが補充なし。では…とそれぞれが(特に前半)比較的長くしゃべった為、持ち時間15分になりました、と初めに話してました。これはかわいそう。少しばかり早口で、きっちり名工・左甚五郎にまつわる噺でした。場が引き締まった感じ。

4/5 ~志らく一門会一年間限定スペシャル~シネマ落語の会@渋谷伝承ホール

4月5日

一、落語バトル(前座、二つ目、真打、が10分ずつやって、一番良かった人の欄に客が丸を記入して投票。終演後掲示されてました。) 

「紙入れ」 立川志ら鈴 落語の歴史に詳しくないけれど、たぶん、男性がやってきた芸能なのでしょう。それを女性がやる難しさはありますね。特におかみさんのところ。色気があると邪魔なような、でも何もないとどうなのかな?とか。一番最初の切り込み方が良かった。

「ざる屋」 立川志獅丸 安定していて、おもしろい。この二つって両立しないこともありますよね。私はこの人に投票しました。

「真珠の誘惑」 立川らく朝 リーフレットに健康落語をやりますと書いてありました。60代で真打になった元・医者の異色落語家、として生きていける人なんだろうなぁ。

一、「堪忍袋」 立川志らく この噺までが、最後のマンハッタンにつながるとは!

一、「品川心中・上」 立川志らく 

仲入り

一、シネマ落語「マンハッタン」 立川志らく まず、「品川心中エピソード1」というべきサイドストーリーが1席。いったん高座から下がる予定が、「足が痺れたので」そのまま続きます。志らくさん、普段は落語なら2時間でも正座できるそうですが、体調大丈夫かな?初心者の私には普通に見えましたが。 で、「品川心中・下」の部分に入っていきます。 貸本屋の金蔵は「バカきん」とか「セコきん」とか呼ばれ、突き放した描き方をされている人だと思うのですが、ここでは純愛物語の中心人物になっていました。映画「マンハッタン」を見ていないので、映画との絡みの面白さはわかりませんでした。江戸時代の17歳は子どもなんだろうか?と思ったり。でも、最後にすべてが一つにつながる構成はすごいなと思った。 やっぱり5月も行きたくなり、チケット購入。

3/26 ギュウ農アルタ寄席 立川志らく、談笑 二人会@スタジオアルタ

3月26日

「ギュウ農フェス」第3部ということで、第2部には私の好きなベルハーことBELLRING少女ハートも出演したイベントの特別企画でした。
進行のギュウゾウ(電撃ネットワーク)さんによると、第3部は1部、2部とはかなり客層が違っていたそうです。でも、ベルハーグッズの洋服着た人もいましたよ。スタジオで落語は珍しいですね。

 

「イラサリマケー」 立川談笑 新宿を舞台にした談笑さんの噺。

「片棒」 立川談笑 一席では高座をおりられない、ともう一席。談笑ファン(談笑さんは「談笑マニア」と呼ぶのでしょうか?)はこういうのが好きなんでしょうね。アブナイ感じとか、オーバーアクションだったりするのですが、筋はそんなにハジケていないかな。前に聴いた志らくの「片棒」の強烈さの方が印象深い。

「らくだ」 立川志らく ここで「らくだ」が聴けるとは思わず、来て良かったと思いました。段々変化して行きますね。それを一番感じたのは、雨の中のらくだを回想するシーン。傘もささずに突っ立っているらくだを、皆はバカだと言うけれど、屑屋が行って聞いてみると兄貴分(らくだの弔いをやる、丁の目の半次)が風邪引いて寝込んでいて悲しいのだと。その時だけは、ほんの少し良い人なのかと思った、となっていました。その後は、サッと雨がやみ、ぬかるみに描いた兄貴分の顔が気に入ったなら買えだの、買ったのだから泥を袂に入れて持って行けだの、もう一回見たいから元に戻せだの、無茶苦茶なことを言い、聞かなければ殴る。それを見ていた子ども達が笑うのだけど、その中に屑屋の子も実は居て、周囲に合わせて悔しいけど笑っている。それがまた、屑屋にとっては悔しい。でも力の強いらくだに反撃しても、負けて殺されるのがオチだから逆らえない。ジンと来るところです。それにしても、このらくだ(らくだはあだ名で本名は馬さん)って人は、どこかに居そうな人だ。悪い奴だが気になる。私の周りにはいませんけどね。 最後、転んで樽かららくだの死骸を落としてしまい、探しに戻って酔っ払って寝ている願人坊主を拾う。焼き場に入れられてさすがに熱く、飛び出した坊主、かんかんのうを踊ってる、で終わりました。ちなみに志らくさんは、アルタに何の思い入れもなく、待ち合わせすらしたことがないそうです。葬式の噺や死人の噺で良いのかという話題、自分たちは立川流のB面(やわらかい方は志の輔談春)、B面には名曲が多いという話題は、3人の時に出ていたかな。客層に合わせて噺を変えることはないともおっしゃってました。

落語が終わってから、ギュウゾウさん含め3人がステージに立ってしばしトーク。撮影O.Kになると、みなさん携帯向けてました。最後に観客も一緒に撮影。はい、遠慮なく真っ先にステージに近づきましたよ。でも、あとから大勢来て、背の高い人の陰で写ってないかも。 15日にライヴに行って以来、現実がドーンと降って来て、私にしては久しぶりの生パフォーマンスだったので、高揚してますね。落ち着こう。 

 

 

 

2/26 立川志らく独演会@銀座ブロッサム

2月26日

「黄金の大黒」(きんのだいこく)  立川らく次 安定して楽しかった。長屋の人々の個性もそれぞれわかって、一枚きりの羽織(絽で袷で!紋が三蓋松ほか3種類付いている!)を順に回して着て大家におめでたい席の口上を述べて行く。最後に黄金の大黒様が床の間からとことこ歩いて出て行こうとするので、引き止めると「あんまり楽しいので恵比寿も連れてくる」で終わり。

居残り佐平次」  立川志らく フライヤーには"元祖・幕末太陽傳"と書かれていました。「幕末太陽傳」は川島雄三監督の映画、主演はフランキー堺です。この映画は素晴らしい、でもフランキー堺にはもっと良い映画がある、と枕で言ってました。私はこの映画はYouTubeで見てとても好きです。居残りというのは、遊郭で遊んで金を払えずそこに残っている。居続けは、一夜で帰らず遊び続けて代金を支払う上客。佐平次、店の若い衆に代わり番でして…とお金を催促されるとまずはごまかす。理屈でもごまかすけれど、声でもごまかす。ギャッ、とか、ピーッ、スイッチョン、は今まで聴いたことありましたが、あかちゃんあかちゃん、や、モスラの島の住民の踊りの歌?は初めて聴きました。ごまかし切れなくなり、布団部屋に放り込まれるが、忙しい品川の大店のこと、客に手が回らなくなる時もある。刺身は来たが下地(醤油)が来ないとぶつぶつ言っている客の声を聴きつけて、小皿にそばつゆの残りを入れて持って行く佐平次。その他、掃除、お運び、三味線の音合わせなど、店の人々の手伝いを勝手にしたり、客を喜ばせたりして、「居残(いの)どーん、13番さんお座敷~」と幇間のようにお座敷がかかるようになる。となると若い衆に入っていたご祝儀はみんな彼の懐へ入るようになり、不満がつもり、店の主人に呼び出される。ここでまた佐平次、上手く言いくるめて金と着物までもらって出て行く。サゲは、出て行く佐平次の姿に花魁たちが「居残り惜しい」(お名残り惜しい)と声をかけてました。ここは談志のサゲ(せめて裏から叩き出して欲しいという若い衆に旦那が、「裏を返されたら後が怖い」)から変えてましたね。マクラも面白かったけれど(ゲスの極み、を圓生、スマップ謝罪会見は立川流にたとえて等々)、もちろん本編の聴き応えたっぷりでした。

仲入り

「品川心中」  立川志らく 金蔵は死にたくなるような洒落を言う男で、ばか金とも呼ばれている。「私は金蔵です、あそこにあるのは雑巾です」とか。で、通いつめた遊郭の女・お染に心中(形式的には店のトップだが年を取って客が減り、金もなく、悔しい思いをしたので死にたいが、せめて心中にして話題になりたい)の相手として選ばれてしまう。結局遠浅の海で助かって、今度は親分の助けをもらって仕返しする噺です。前回聴いた時、お染が最後に「死にます」と言ったのがスッキリしないと書きました。今回は、「それなら俺も死ぬ」と金蔵が続けて、ストンと落ちました。見事に話が初めに戻ってる。

毎回楽しみにしている、プログラムの志らくの言葉。"今年は志らくという落語家が変わろうとしている気がする。"から始まってました。この3年弱しか知らないので、何とも言えませんが、変わる志らくさんも聴きたいです。実は先週の公開らく塾にも行ってます。7日の昼公演、迷ってます。「死神」はどうも敬遠したくなるのですよ。

1/19 立川志らく落語大全集~談志十八番の巻~@国立演芸場

1月19日

開口一番 「新聞記事」 立川らく者 売れない役者を10年やって入門したので役者の者を取って"らく者"です。とのこと。そういう事前情報を話すのは吉なのか凶なのか。とにかく、人に見られることは慣れている感じがしました。

「代書屋」 立川志らく あらかじめご自分で"卑怯な手を使います"と言っていたのは、次の「五人廻し」にも出て来た、浪速で商人やってるアメリカ人のことかな。「金明竹」に登場し、有名な人ですね。でも楽しい。 当日配布のリーフレットに、枝雀師匠の「代書屋」みたいには出来ない、と書いてありました。私は大阪出身なので、米朝枝雀もこどもの頃からテレビで知っていましたが、動画ですがちゃんと落語を聴いたのはこの数年。確かに枝雀の「代書屋」はおもしろい。志らくだと、「二行抹消!」という代書屋の堅物で困って怒る感じが弱い。

「五人廻し」 立川志らく 花魁の喜瀬川は売れっ子で、客から客へ回らなければならないけれど、上客の杢兵衛(もくべえ)大尽とずっと一緒にいて動いてくれない。待ちくたびれた客が店の者(喜助)をみつけ、喜助が弁解して回る噺。「蘇州夜曲」、「米国の国歌」のメロディで君が代を歌うシーンは志らくならでは!(後者は松元ヒロさんもやっていますが、どちらかがパクッた訳ではなく、自然発生的にそうなったとのこと。)  物真似とか、人名とか、20代の人にはわからないだろうなぁという部分もいろいろありました。私も春風亭柳昇(ですよね?)のふわふわっとした喋り方はわかっても、金馬はわかりませんでした。赤尾敏がどんな人物なのかは知ってます。 

ドラマ「赤めだか」の話題はどの噺にも出て来たかな。私も年末に見ました。最後に「このドラマはフィクションで実在する団体、個人とは云々」という文章が出たので、これはニノが爽やかに談春を演じるドラマと思えば良いのです。でも、前座4人のその後にも触れていて、志らく談春を抜いて真打になったことも出て来る。これは事実ですから、あれ?ちょっと矛盾するよなぁ…とも思いました。これはドラマの感想。

備忘メモとして。一人目:通常版、二人目:右翼、三人目:落語家物真似、四人目:例のアメリカ人、五人目:杢兵衛、でした。

中入り

源平盛衰記」 立川志らく 志らくさんの袴姿は初めて見たかも。座布団も純白のになってました。会場に着いた頃に、ふと思い出した。那須与一のくだり、自分が今年に入ってから能楽堂野村萬斎のアイで見た(聴いた)こと。でも、能と落語は別ですから、いいや。もちろん、談志の録音物も聴いてます。ストーリーを進めながら、合間にいろいろな話題が入って来て面白かった。で、ちゃんと本筋に戻ります。一番面白かったのは、「ここから講談に入ります」と言って語り始め、腿をパパンパンパンと叩いて「痛ぇ」と言ったところ。(皇室のキコさんも同じ言葉をこぼした話題が、どこかで出てました。)木曽義仲が京に入って乱暴狼藉のくだりでは、ずっと前に狂言「猫間」見た事思い出しました。確か、茂山七五三(しげやま・しめ)さんで、座った姿勢から真後ろに倒れるの凄かった。敦盛のくだりも、壇ノ浦での平家没落のくだりも、能楽や演劇「子午線の祀り」で見たものとの違いが返って楽しかった。元を知っているのは良いことだ。漢詩は、あとからネットで調べてうろ覚えの裏づけ見つけました。鞭聲粛粛夜過河/鞭聲粛々夜河を過る(べんせいしゅくしゅく よるかわをわたる)ですね。鞭聲が弁慶にかけてある。

12/23 今年最後の立川志らく独演会@よみうりホール

12月23日

「短命」 立川志らく 前座なし。いきなり志らくでした。4年連続して年末、この会場で「芝浜」をやって来たが、今日は「芝浜」をやらない会です。と初っ端から宣言。勿論フライヤー等でも"死神スペシャル"と告知しています。そして、30秒の芝浜も披露。さだまさしの『防人の詩』(さきもりのうた)の替え歌で。「短命」、楽しかった。終盤で主人公のおかみさんが練習中の蝦蟇の油売りの口上も聴けるし。

「そこつ長屋」 立川志らく これが最高に良かった。隅々が面白くて、かといって悪い意味で"隙がない"のとも違う。なんと言っても、自分が死んだことも気付かず家に帰って来るうっかり者の噺ですから。死が登場するのだけれど、暗くはならない。なお、そこつは漢字で粗忽ですが、プログラムは平仮名でした。

「死神」  立川志らく  三遊亭圓朝グリム童話を翻案して明治時代に作ったといわれている噺。私自身、このストーリーは子どもの頃聞いたか読んだような気がします。ちょっと不思議な感じの噺だなぁと思います。日本とヨーロッパの雰囲気が混在してるからかな。あ、死神がその場からいなくなる呪文、アジャラモクレンの続きは「赤めだか云々」(笑)でした。談春が原作者のテレビ番組をしっかり宣伝する志らく。(語呂もあまりよくないし、露骨なので2回目からはモニャモニャで噺の筋を進めてました。)

仲入り

「死神後日談」 立川志らく 舞台は昭和20年、広島。セリフにもところどころ、広島弁のようなのが入ってました。これは、なんだったのだろう。数日たっても、私にはよく理解できません。仲入り前の3つの噺の登場人物やエピソードが散りばめられていたり、面白いところも沢山あるのです。説明臭くもない。登場人物は多かったけれど、きちんと誰かわかった。配布されたリーフレットには、数年前に演劇らくごで発表した「死神が舞い降りた街」を落語にする、と掲載されてました。ベースは、ゴーリキの「どん底」、志らくが一番好きな海外の戯曲だそうです。(私は「どん底」は読んでいません。)もしかして、志らくさんは現在の日本や世界に絶望してるのかな?とも思ったけれど、どうも違う気がする。見方によっては政治的な部分もあったけど。これは落語なのだろうか?と書いたら志らくに対する侮辱にあたるのか?そうでもないような。 「短命」のマクラで、談志信者のみなさん、私に談志の幻影を求めないでください、とも言ってたなぁ。聴き応えのある噺ではあったし、私はこれからも志らくの独演会に行きます。まずは、1月19日の大全集です。 

 

12/6 第三十回鎌倉はなし会 立川志らく独演会;ゲスト遠峰あこ@鎌倉芸術館・小ホール

12月6日

開口一番 「看板のピン」 立川らくぼ 安定して面白かった。目が輝いている感じも良かったです。

「長短」 立川志らく ついこの間聴いたばかりの噺でしたが、気の長い男を喋る志らくはレアな感じで楽しい。煙管に火がつかないところとかもおもしろかった。ここだったかどうか覚えていませんが、志らくさん毎回テレビドラマ『赤めだか』(12月28日午後9時~11時25分、TBS)の話をします。で、当時の談春の容貌についても、志らく役の役者さんのことも、段々悪口ぽくなくなって来ていますね。私の落語の入り口は2年ほど前に『赤めだか』を読んだことですから、このドラマは見る予定。実は、(談志役の)ビートたけしは良いと思ったことないのですが、談志が認めてる人だから見ます。(談春役の)ニノはかなり前の映画(「青の炎」)で役者として良いなぁと思った。

金明竹」 立川志らく 大阪の商家から言付けに来たアメリカ人(一般の落語では日本人)の言い立て(?)、いつか覚えようと、図書館で文字になったのコピーして手元に置いてあります。でも、なかなか覚えられません。何回聞いても可笑しい。

仲入り

「唄とアコーディオン」 遠峰あこ 去年のこの会でもゲスト出演して、「かんかんのう」を唄った若い女性芸人さん。今回は「ホーハイ節」(青森民謡)が良かった。「ホーハイ ホーハイ」という部分、1オクターブ上下するんですが、上手いっ!

「芝浜」 立川志らく ”年末には芝浜”というのが落語ファンのなかにはあるようですが、初心者の私は特にそういうものはありません。元々「三題噺」だった軽い人情噺を、談志と先代の三遊亭圓楽が大きくしたのだとマクラで志らくが話してました。前半の二つの演目と、この「芝浜」はちょっと気合いが違った気がしました。談志の聖地・年末のよみうりホールで4年間、志らくは「芝浜」をやって来ましたが、今年の演目は「死神スペシャル」です。「芝浜」はここでやる。何が違うかというと、魚屋の女房が亭主の勝五郎を起こす、その前の晩の約束のシーン(明日から商いに行くからあと5合、酒を飲ませてくれ)から始まったのです。そしてそこで、飲みたいから飲むんじゃない、眠れないから飲むんだ、と勝五郎に言わせた。酒乱状態で20日も河岸に行かず、貧乏のどん底。自分でもわかっているが、どうしようもない状態。どの酒屋も、ご近所ももう酒を恵んではくれない。死のうか(勝五郎)、死のう(女房)。いや俺は死にたくねぇ、飲ませてくれ!、というとんでもない男の悲痛な叫び。これは心に響きましたよ。  途中、ウミウシのギャグとか、手が長ーく伸びて、起こす時間を間違えた女房を引っぱたいてまた縮むとか、いろいろ可笑しいことも入れて終盤。大晦日です。百八の鐘が鳴るなかで、女房があれは夢でなく本当に財布を拾ったんだと告白、怒る勝五郎。ぶっても蹴ってもいいけど捨てないで!拾った財布に四十二両入っていて魚屋やめるって言うから(大家さんにも訊ねられて相談し)嘘ついたの。魚屋やってるあなたが好きなの。魚のことをいきいきと話してくれるあなたが…。このあたりで、やっぱり涙が滲みました。もっと泣いてるお客もいた。最後はすっきり、また夢になるといけねぇ、で終演。良かったです。

※追記 もしかしたら、志らくの「芝浜」はいつも前夜のシーンから始まるのかもしれません。

※12/8追記 mixiコメントでご指摘いただき、「芝浜」を大きくした人の名前を加えました。

落語立川流特別公演 談志まつり2015 (2日目)@よみうりホール

11月22日

開口一番 「目薬」 立川平林(ひらりん)  立川談志が亡くなったのは2011年11月21日です。没後開催されている談志まつりに初めて行って来まし た。開口一番の平林さんは、あとで検索すると2005年に談志に入門、二つ目に昇進。談志が亡くなってから談慶門下に入ったそうです。普通に面白かった。

「幽女買い」 立川談慶 自分が死んだ、というおぼえのない男がまず登場。あの世もこの世と同じ作りになっていて、スティーブ・ジョブズも勿論いるのでiPhone11まで開発されていて…という流れから新作なのかなぁ?と思っているうち、知っているストーリーになりました。あの世では暗い歌が良いのだ、という例で山崎ハコ森田童子の名前が出て嬉しかった。私も好きでしたから。

「ぞろぞろ」 立川談笑 彼がやって、通常の「ひげがぞろぞろ」の落ちになる訳はないだろう。じゃあ、最後どうするのかな?と思ったら、床屋の大将がお客の首をスパッとやって、新しい首がぞろぞろでした。ふむふむ。

「干物箱」 土橋亭里う馬(どきょうてい・りゅうば) 談志に初めて入門した方だそうです。ま、でも談志の感じはまったくしない。遊びが過ぎて、父親に2階にいろ!と命令された若旦那の噺。普通に楽しかった。

中入り

真打昇進披露口上(この日は立川らく朝、立川志らら、立川らく里改め志ら玉の3人が昇進披露)

お医者さんから落語家に転進、「おじいちゃん」と司会の談笑に言われるような年齢で真打まで到達した らく朝は短距離走、志らら、らく里改め志ら玉(しらたま)は’70年代生まれなので先は長いですね。 それにしても志らく師匠の挨拶はクールでした。

「お化け長屋」 立川ぜん馬(ぜんば) 食道がんの第4段階でこれだけ出来るなんて、すごいな。声質はどうしても掠れてしまいますが。後半は聴きやすくなったところもありました。


文七元結」 立川志らく 演目の事前告知はありませんでしたが、始まってすぐわかりました。これは、泣く。絶対に泣く。何しろ、動画でも泣きますから。
で、今回ですが、自分でも意外なところでグッと来ました。吾妻橋の上から飛び込んで死のうとする文七を説得する長兵衛のことば。生きていれば良い こともある。明日になれば花も咲く、鳥もさえずる…。ここ、どちらかというと、腕はいいのに仕事はせず、博打で無一文になり、罪のない女房をなぐる蹴る、 可愛い17歳の娘は自ら女郎屋に行って自分を買ってくださいと頼み込む…そんなダメダメな男(でも江戸っ子、死のうとする文七に五十両投げ付けて与える 男。)が常套句を言っているそのアンバランスで笑うような部分だと思うのです。が、泣けました。
泣きの部分とおかしい部分のメリハリが最高に良かった。最後、長屋の人々は3人の光景を見て気が狂ったと思った、とかね。亭主は女物の着物来て、 女房は法被一枚、腰巻も売ってしまい腰からしたは裸、娘は女郎屋の女将の采配で美しく着飾って、この3人がまた一緒に暮らせると泣いて抱き合って喜んでい る。
お客を泣かせて終わり、にしないのが良い。
途中、談志の物真似(ラッコのひげみたいなポーズ)も1ヶ所ありましたよ。
終演後、がまんしていた感情があふれてしまい、前の席の人が振り返るほど、私は泣きました。

 

11/13 映画がしみる…演芸会@横浜にぎわい座

11月13日

「映画音楽メドレー」 だるま食堂    

初めて知った女性トリオ。"コミックバンドは下手ではつとまらない"とよく言われますが、彼女らのアカペラ上手かった。その上楽しくて、面白い。しかも、シモネタに走らない。見た目は、豊満な胸と豊かなヒップ(中に何か入れてある) 、カラフルなウィッグが強烈でした。取り上げるのは、前世紀の映画がほとんど。ミュージカルとか。誰でも知ってる映画って、最近少ないですからね。普通に歌うだけでなく、替え歌にもなってました。若くはないけど、お年寄りでもない。年齢不詳。私と同じくらいか、も少し年下かも。

 

シネマ語り「街の灯」  松元ヒロ  

ヒロさんは2回目でした。今夜はチャップリン映画。ちょっと説明的過ぎたかな。

 

仲入り

「たまや」〜『天国から来たチャンピオン』〜より       立川志らく      

シネマ落語ですね。今まで70席くらい作ったそうです。主に洋画のストーリーを江戸、明治など落語の世界に持って来て演じる。元の映画はフットボール選手の話ですが、花火職人の話にして、楽しく、最後はホロっと来ました。どうしても比べてしまうけれど、座って語る志らくの方が情景が浮かびました。私が志らくファンだからか。お馴染みの「死神」も登場しましたよ。あと、例の「アウッ!」の連発。これ、好きなんです♪ 来年の志らく一門会は一年限定で、志らくのシネマ落語、プラス、"前座、二つ目、真打ちの下剋上バトル"という構成でやるとフライヤーに書いてありました。ちょっと行ってみたいです。

Tatekawa Blood 立川志らく・談笑 二人会@かめありリリオホール

10月24日

開口一番    「ん廻し」 立川志ら門   若い衆が集まって、酒を飲もう、つまみは一人「100円」ずつ集めよう…、とか、パチンコとか、ホームランとか、古典落語だけど設定は現代?不思議な感じでした。「ん」の入った言葉を言い立てるのは良かったです。志らくの16番目のお弟子さんだそうです。


「長短」   立川志らく    例の命がけのギャグがマクラ。アベは違憲だ、その通り!数年後、果たして「自由共産党」や「民主共産党」に改名するでしょうか。  ま、それはともかく、本題です。気の短い男と気の長い男の応酬は楽しかった〜!志らくさんが、与太郎じゃなくゆっくり喋るのは初めて聴いたかもしれません。アポロ13号、月面に突き立てた星条旗が風に揺れる話題とか。コカ・コーラの瓶が映ってた話には行かず。談笑のことは、最も凶暴な男!と紹介してました。


「猿の夢」   立川談笑      初めてのナマ談笑でした。実際、彼の方が知名度あるのでしょうか?登場した時観客の拍手が大きかった。  この噺は、彼の新作かな?    胃カメラ検査したら「あなたはヒトではなく、猿です」と宣告され、保健所の部隊に追われて逃げた先の下水道で心や意思のある大腸菌(男。最近死んでしまった彼女は、コレラ菌)に出会い、云々という奇想天外な噺。で、最後、芝浜の「オマージュ」で終わるかと思ったら、もう一度、どんでん返し。映画になりそう。


中入り

「鮫講釈」   立川談笑    私はこの方は新作派だと思っていたのですが、古典もやるのですね。面白いのですが、肝心の講釈にもっとメリハリが欲しい。講釈の最後は、「五郎丸トラーイ!」でした。


「親子酒」   立川志らく   この前に談笑が、故・勘三郎 (立川流顧問) が蝿になって何かの時には現れる。談志も同じように、蜘蛛や害虫に姿を変えて現れる、という話をしていたので、志らくが高座に上がってすぐに太鼓鳴らしたのは、わざとだと思います。が、その後、マイクの調子が悪くなったのは…偶然でしょうけれど、談志は成仏していないと言われると、そうかもと思いました。緞帳もいったん下げて、仕切り直し。     酒乱の親子の噺です。桂枝雀の動画で聴いた(見た )記憶があります。 酔っ払いを演じながら、言いたいこと沢山言ってました。志ん朝錦松梅CMはリスペクト、志の輔ペヤングは悪口。おかみさんの言葉で「これ以上敵を増やしてどうするの!」という冷静な見方も口に出しつつ、立川談春著「赤めだか」のTVドラマ化にも触れ、本物はニノのように爽やかじゃあなかった、と。  勢いの良い江戸っ子ばかりではなく、ベロベロの酔っ払い志らくも良いですね。スカッとした気持ちになりました。

私が落語ファンになるキッカケになった人が教えてくれた言葉、「この二人は立川流のB面。得てして名曲はB面に多い」。